阪神が4連敗を喫し、約2カ月ぶりにBクラスに転落した。同率3位対決で注目されたDeNAとの第1ラウンドは、0行進を今季最長の22イニングに伸ばす完敗で2試合連続完封負け。矢野燿大監督(50)は貧打のテコ入れ策として、不調の近本光司外野手(24)を1番から外す可能性を示唆した。首位巨人とは6・5ゲーム差に拡大。過去最大の逆転優勝を果たした1964年(昭39)のデッドラインに並んでしまった。

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またも本塁が遠かった。DeNAファンの勝ちどきが響く横浜スタジアムの三塁ベンチ裏。敗戦を見届けた矢野監督らが緊急のコーチミーティングを開いた。6安打で2戦連続の完封負け…。22イニング連続無得点の窮状を打破すべく、打開策を練った。指揮官は渋い表情で自ら切り出した。

「明日はちょっと、いろいろ入れ替えようかなと思って。現状、状態がもちろん良くないから点を取れない。ムードもなかなか変化がない。1回、ちょっと変化を持たせるところでも、いろいろ考えようかなと」

深刻な貧打に陥り、首位巨人と6・5ゲーム差。球団の過去最大の逆転Vを飾った64年のゲーム差と並び、優勝のデッドラインを迎えた。ついに矢野監督は断を下す。打線改造-。浜中打撃コーチも「このままでは点が取れない。動いていかないと」と危機感をにじませた。4月20日の巨人戦以降、新人近本が死守してきた1番変更もてこ入れの一策になるだろう。5月に3割4分だった打率は2割6分1厘まで急降下。同コーチは「(1番変更は)あるのはあるかも。彼自身が1本出さないと」と、入れ替えを示唆した。

得意のハマスタでも、好転しない。今季は試合前まで同球場で5勝1敗。打線が爆発する好相性を誇るがこの日は沈黙。5回は2安打で2死一、二塁。近本が振り逃げで出塁し、労せず満塁機が巡ってきた。だが糸原は上茶谷の沈むチェンジアップに空を切る。1イニング4三振の珍記録だけがむなしく残った。

6回は先頭糸井、大山の連打で無死一、二塁。期待が高まるなか2死満塁まで進むと、DeNAラミレス監督は左腕石田を投入する。木浪はそのまま打席に入ったが二ゴロ。気合は空回りし、2イニング連続で満塁のチャンスを逃して自ら勝機を手放してしまった。

先発西が粘っても必死の反撃が実らない。指揮官は「苦しいのは苦しい。いつも苦しいからこそ、楽しくとか、苦しいときこそ前を向いてと自分にも言い聞かせている。いまもそんな状態」と言う。勝負の夏場を生き残るためにも、踏ん張りどころだ。【酒井俊作】

◆64年阪神の逆転優勝 82試合を消化した7月18日、首位の大洋(現DeNA)から6・5差をつけられ、前半戦を終えた。球宴を挟み猛追を開始。9月に残った大洋との直接対決4試合に全勝して詰め寄った。先に全日程を終了したライバルに対し、阪神は残り3試合でマジック2が点灯。同30日中日戦ダブルヘッダー第1試合に勝って優勝を決めた。後半戦58試合を34勝21敗3分け、勝率6割1分8厘で勝ち進んでの快挙だった。