エッ、助っ人4番に助っ人代打…。阪神は序盤の拙攻が響いて、今季4度目の巨人戦3連戦3連敗を食らった。6回には4番ジェフリー・マルテ内野手(28)に代打でヤンハービス・ソラーテ内野手(32)を送る不可思議な交代。左胸部がつったと訴えて自ら試合を退いたものだが治療も施さないほどの軽症だという。チームを引っ張るはずの4番に気迫が見えず、今季最多の借金7。8年連続の巨人戦負け越しが決まった。

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マルテが自ら4番の「看板」を下ろした。4点を追う6回。1死一、二塁の好機で目を疑うような光景があった。矢野監督がベンチを飛び出す。4番マルテに代打ソラーテ。あっけなく二ゴロ…。その後、1点を刻んだが、反撃ムードに水を差す、不可思議な交代になった。指揮官は無表情を装って、実情を明かす。

「いや、なんかちょっと胸が痛い、痛いっていうか、なんか…。うん、それで代えた。振れる感じがないっていう感じやったから」

マルテが直前の打席でスイングした際に左胸部がつった症状を訴えて緊急交代。助っ人4番に外国人の代打が出たのは球団史上初めての珍事だ。マルテは「左だけどそこまで重症じゃない。少しつった感じ」と話し、山下チーフトレーナーも「痛めていない。つった感じ。病院にも行かないし、アイシングもいらないと言ってきたくらい。治療もしていない」と説明した。

20日のDeNA戦出場も可能だという。交代後は試合中に打撃練習も行ったという。状態を確認するためだろう。だが、関係者が「裏でバンバン打っていた」と話すほど。それほどの軽症なら打席に立てないのか…。4番打者には重みがある。勝敗の責任を一身に背負う。重圧も批判も受け止める。開幕から105試合で4番を務めていた大山も必死に耐えた。マルテは今季、打率2割7分1厘、10本塁打。チームを救う一打もあったが、この日は大黒柱としてナインを引っ張る闘志が見えなかった。

4番が気迫を見せず、自ら戦場を去って、勝てるはずがない。巨人戦3連戦3連敗は今季4度目で、1963年以来、56年ぶり2度目の屈辱だ。巨人戦は8年連続で負け越しとなり、12年連続で勝ち越せない。矢野監督も「残りの試合、どう戦うかが俺らに問われているところ」と言い聞かせるのが精いっぱいだった。【酒井俊作】