西武の連覇を陰で支えた「参謀」馬場敏史作戦兼守備走塁コーチ(54)が、辻監督の横顔を明かした。互いに現役の97年ヤクルト時代から、22年来の付き合い。引退後は別球団でキャリアを積み、17年からタッグを組む。辻監督の性格について「明るいですよ、とにかく」と評した。

まさに“とにかく明るい山賊”の象徴的存在だ。「監督からコミュニケーションをとってくれるんで、選手はすごくありがたいと思います。監督と選手と言えば普通は壁があるけど、監督は自分からバカを言ったりしてくれますから」。

試合前の練習。前日に結果を残せなかった選手に、気さくに声をかけつつ適切な助言を送る。優勝目前の22日には、前夜の楽天戦でリリーフに失敗した平井を「死にそうな顔してんじゃないよ!」と笑顔でいじる一幕もあった。明るさの一方で「怒るときは僕たち(コーチ陣)に怒ります。選手には怒らない。本人が1番悪いと思ってますから輪を掛けて言う必要はない。落ち込んでるところを監督がうまいことフォローするんです」と明かす。

西武でのタッグ3年目。指揮官のスタイルは「全く変わらないです。多分いつまでたっても。それが『西武カラー』じゃないですか。ガーッと言っても、しゅんとなる子は最近多いし。うちはもうイケイケという感じ」。明るいムードを作り、豪快な山賊の持ち味を引き出す。

選手起用はどうか。17年には当時ルーキーの源田を遊撃手で起用し続けた。浅村が楽天に移籍した今季は外崎を二塁手に。「キャンプからずっと基本的なことを監督が後ろについて教えてね。固定してずっと使ってますね」。源田は1年目こそ21失策も、2年目にはゴールデングラブ賞を受賞。今季の外崎も失策は15を数えるが、身体能力を生かした好守で投手を救った場面も多かった。豪快に打ち勝つ野球の裏で、堅実な二遊間を構築しつつある。

常に明るい辻監督だけに、昨年CSファイナルステージで敗れて見せた涙は印象的だった。「見たことなかった。初めてじゃないかな。引退試合でも泣かなかったと思いますし」。

悔し涙から始まった連覇への道。チーム状況が良いときも悪いときも「監督はあまり表に出さないですから。最近怒られたこと? ないですね。愚痴はありますけど(笑い)。それも最近は減ってきました」。

日本一のうれし涙を流すまで、側近としてサポートに徹する。【鈴木正章】