現役時代に「クセ者」と称された巨人元木大介ヘッドコーチ(47)が「鬼軍曹」になってチームに緊張感をもたらした。宮崎総合運動公園で行われている秋季キャンプ3日目の8日、実戦を想定した試合形式の練習を初めて取り入れた。

1死一、三塁、無死一、二塁など場面を設定してバントやセーフティースクイズなどのサインプレーを確認。ミスした選手には右翼フェンスまで罰走を科した。

「ミスしてもう一丁っていう考えでやられると、シーズン入ってできっこない。試合と同じ気持ちでやってくれと言った」とピリッとした空気を生んだ。ネット裏の原タワーに指揮官と座り、目を光らせる。今季1軍に定着した山本、若林、田中俊ら計8人が12本の罰走。育成3年目の高山には1球のバントミスで打席を外させ「2球も3球もチャンスはない」と断じた。

ヘッドコーチに指名した原監督は「細かいところまで見てる」と厳しい雰囲気を歓迎。元木ヘッドはブルペンにも足を運び、居残りの守備練習まで若手を鍛え上げた。当初は第1クール終了後にドミニカ共和国にトライアウト視察に向かう予定だったが、キャンセルしてチームの底上げに取り組む。「1軍にいたメンバーもうかうかできない。やるかやらないかは本人次第。甘く考えていたら1軍に残るのは絶対に無理」と言い切った。【前田祐輔】