オリックス宮内義彦オーナー(84)が8日、宮崎SOKKENスタジアムを訪れた。チームの激励が目的で、到着するとすぐに大きな円陣を組んだマウンドの中心で約5分間の「訓示」を行った。

「今年はオリンピックもあって、変則の日程。スタートダッシュはいつもより早く、オリンピックの間の過ごし方も大変重要なので、よく考えてやってくれと伝えましたね」

全員野球の考えも選手に伝え、注文を出した。「まずラグビーの話をしましてね。もちろん野球とは違うスポーツだけど、全員が勝つためのプレーをしている。自分は犠牲になってでも、ボールを次に渡すというね。チームが勝つためを前提にやっている。実は野球はなんとなく個人プレー。それは全く意味がないんじゃないかなと。勝てないチームはダメなんで、みなさん勝つための試合をやってほしい。自分がどういうポジションにいるかを察して、1つ1つのプレーをやってほしい」

球団、スタッフ、選手たちが1つになって戦う。「ONE TEAMですよね。なんとなく選手は個人プレーで、自分が良いプレーをすればそれでいいと思っている。それじゃあ野球じゃない。勝たないと。そういう話をしました」。

続けて「自分は何を期待されてるのか。俺だけヒットを打ったらいいとかね。意味のないヒットは意味がない。チームで勝つプレーをすることが大事だとね」と、全員でつかむ勝利への執念に期待を寄せた。

昨季はチーム打率2割4分2厘で最下位に沈んだ。20年シーズンの逆襲を目指し、2年総額8億8000万円+出来高2億2000万円(金額は推定)と「破格」の金額で、メジャー通算1939安打&ゴールドグラブ賞4度の大物助っ人アダム・ジョーンズ外野手(34=ダイヤモンドバックス)を獲得。フロントの本気度が読み取れる。

「彼のインパクトは大きい。昨年を見たら、投手力は一人前のチームで、打撃力がもうひとつ、ふたつ。その原因は(好打者が)並んでなかった。一人ではなかなかしんどい。チームとして強い打線ではなかった。それは十分に補強できたのかなと。各ポジションで非常にいい競争ができている」

24年ぶりの優勝へ-。「毎年、同じことを言っているわけでね。今年は違うぞと。最下位だったから何が何でも5位になってくれとは考えてない。今までの欠点を補った。穴をさらさなくていいチームになったと思いますね。どことでも戦えるチームになっているはず」。96年以来の優勝へ、手応えを示した。【真柴健】