巨人の絶対エースが、野球人の原点を胸にマウンドに立った。菅野智之投手(30)が、今季初実戦となる楽天とのオープン戦(沖縄セルラー那覇)に先発。3回を3安打1失点(自責1)に抑えた。

昨季は5月下旬に腰痛で離脱以降、腰痛と闘いながらマウンドに上がったが、この日は打者との勝負に集中。新フォームの手応えとともに、万全な状態でマウンドに上がれた喜びを全身でかみしめた。

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菅野はプレート板に足を置いた。打席には先頭の楽天小深田。ワインドアップから投球動作に入る直前、込み上げる思いを乗せるように直球を投げ込んだ。

菅野 何も体のことを気にせず、腕を振って、バッターと対峙(たいじ)できたのは久しぶりの感覚だったので、うれしかった。

腰痛と闘いながらだった、昨年の苦しかった記憶もよみがえった。「つらい時のね、いろいろ思い出すこともありましたけど」。それ以上に、心の大半を占めた喜び。「久しぶりなのか、経験したことがあるのか、いろいろ思い出してるんですけど…。あまり経験はないです」と話した。

今年初の実戦でも、研ぎ澄まされた感覚はさすがだった。2回1死一塁では黒川を投ゴロ併殺。3回2死一塁では俊足の小深田をけん制で刺した。重盗、エンドランと足を絡める楽天に対し、冷静なマウンドさばきで対処。全球種投じ、課題と収穫を見つけた。

腕から始動する新フォームも好感触だった。最速は150キロをマーク。島内は外からのスライダーで空を切らせた。「投げてるバランスはそんなに悪くなかった。逆に最初の実戦でピシピシいったら、怖くなっちゃうのでそこもプラスに捉えて」と話した。

30歳を越え、新たなフォームに挑戦する姿に、原監督は「30歳になっても、40歳になっても、50歳になっても、60歳になっても挑戦です」と同調した。この日、登場曲はSHE,Sの「Change」だった。「ずっと変わらないものなど ここにはありやしないよ♪」。変化を恐れず、進化する。【久保賢吾】

▽巨人宮本投手チーフコーチ(菅野について)「順調に来ているなと。さすがエースだなという調整。頼もしいです」