阪神、日本ハム、米大リーグで活躍した新庄剛志氏(48)が生活拠点としていたインドネシア・バリ島を引き払い、日本に帰国することが27日、分かった。

昨年11月に現役復帰を宣言し、トレーニングに励んでいる。すでに日本での練習場所の確保に動くなど、前代未聞のプロ球界復帰に本腰を入れる。

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新庄氏がプロ球界復帰へ、本腰を入れる。現役を引退した後、インドネシア・バリ島に居を移していたが、すべてを引き払って日本に帰ってくることが分かった。

本来は春季キャンプ前に帰国する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期。5月に戻る計画も立てたが、これもやむなく引き延ばされた。現役復帰に向け、バリ島ではウエートトレーニングをはじめ、キャッチボール、ティー打撃を続ける日々。ただ生きた球を打つ練習量が不足している状況という。そこで関係者が帰国後にマシン打撃ができる施設を確保するなど準備に入った。本人もコロナ禍の状況を踏まえながら、渡航、帰国のタイミングを見据えている。

新庄氏は19年11月12日に自身のインスタグラムで「みなさん、夢はあるかい!?」と呼び掛け、突然の「現役復帰」を宣言し、周辺をざわつかせた。その場では「1%の可能性があれば必ずできる」と投稿し、バットを振るなどトレーニングをする動画も寄せてカムバックをアピールした。

06年にリーグ優勝、日本一を遂げた日本ハムを引退してから、13年間のブランクがある。プロ野球界は前代未聞の復帰プランに懐疑的だった。ただ一方で、本人をよく知る選手、関係者から「これまでサプライズを起こしてきたからやりかねない」と本気度に納得する反応も聞かれた。

阪神時代には敬遠球をサヨナラ打にする離れ業をやってのけた。01年にイチローと日本人野手初の米大移籍、日本ハム電撃入団など数々のドラマを演じた。「記録より、記憶に残る選手」を地でいった男は今年1月下旬にも「あのグラウンドに、もう1度立ってみせようじゃないか」とコメントしていた。その言葉にうそがなかったことを裏付け、本人の覚悟を態度で示すのが、これまで10年以上も暮らしたバリ島からの引っ越しになる。

これまで「プリンス」「嵐を呼ぶ男」「宇宙人」など、さまざまな代名詞で表現された新庄氏。失敗も承知の上だろうが、生き方までは曲げられない。関係者には「ぼくは損得で動かないし、死ぬまで失敗を続けるかも。でもだれかを笑顔にさせられたら、ぼくはそれでいい」と伝えている。またまたアンビリーバブルな「新庄劇場」の幕が開く予感がしてきた。【寺尾博和】

○…新庄氏にとって、帰国する際の悩みの種は、愛犬ラナちゃん(ポメラニアン種)の存在だという。新型コロナウイルス感染拡大で離発着時の空港のチェックが厳しい状況で、一緒に帰国するのが難しいようだ。

18年本紙のインタビューで、バリ島での生活について「朝起きて、海行って、朝食食べて、犬の散歩して、また海いって…」と話していた。ラナちゃんとの散歩の時間がもっとも大切という説明だった。

現地で取り組んでいたモトクロス、エアブラシアートから手を引き、現在は収入も限られ、家賃月3万円のアパート住まい。最大の理解者? ラナちゃんと一緒に日本で暮らすために名案を模索している。