阪神新外国人のジャスティン・ボーア内野手(31)が15日、大阪府と兵庫県の医療機関に防護服とコンビニで使用できるプリペイドカード合わせて総額100万円相当を寄付すると発表した。

新型コロナウイルスと最前線で闘う医療従事者に向けて「できることは何か」を考え、球団の協力会社を通じて購入。使命感から行動に移した。メジャー通算92発の4番候補はバットを持たなくても頼もしい。

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未知のウイルスと闘う医療従事者たちへ、ボーアが支援の手を差し伸べた。「誰もが経験した事のないような大変な状況になっている。自分たちでできることを見つけて何かすべきだと思ったよ」。防護服とプリペイドカードを寄付することをオンライン取材で明かした。合わせて100万円相当で、今月下旬以降に到着し次第、大阪府と兵庫県の医療施設へ届けていく。

恩返しの意味もある。昨年12月に阪神入りが決まり米国をたつ前、SNSを通して日本の野球ファンから多くの歓迎メッセージをもらった。「温かく出迎えてくださったので、それも理由の1つ。どうにかして日本に対してお返しというか、何かできることをしたいと思った」。コロナ対策として社会貢献活動を行うと一個人で公表した助っ人は12球団で初めて。まだ公式戦に出場していないが、グラウンド外でも頼れる外国人選手であることが分かった。

ボーアはメジャー在籍時にも年に1回は子どもたちが多くいる病院へ足を運んだ。ただ、今回のような寄付は初めてで「大きな額ではないですが、少しでも役に立てていただければと思いますし、世界中が元の平穏な日々を取り戻す日が来ることを心から願っているよ」と優しい声で語った。

この日は甲子園でフリー打撃やウエートトレーニングで汗を流した。球界は「6・19」開幕を目指しているが、いまだ確定はしていない。それでもやるべきことは変わらない。「プロである以上はコンディションを整えて、決まったときに全力でプレー、パフォーマンスができるように準備していくことが大事。今はしっかり練習ができているので、非常に絶好調だよ」。メジャー通算92発の4番候補は、バットでも日本を勇気づけていく。【只松憲】

<阪神助っ人選手の主な慈善活動>

◆グレン 95年の阪神・淡路大震災に際し、1本塁打につき500ドル、1打点あたり100ドルを積み立てた。シーズン後に、日本赤十字社を通じて200万円を寄付した。

◆マートン 東日本大震災の起こった11年に被災者に100万円を寄付した。また日本バプテスト宣教団を通じ、オムツ、粉ミルクや、子供用の下着、靴下に加えクレヨン、ハサミなどを15万円相当を贈った。

◆呉昇桓 母国韓国で、急性リンパ性白血病の少年たちを救う募金活動に参加。14年オフに帰国しソウル市内の病院を訪れ、9歳の男児を激励。韓国のサイトでこの様子が公開され、寄付金も募った。