球界の功労者をたたえる野球殿堂入りが14日、野球殿堂博物館から発表され、オンラインで通知式が行われた。

アマチュアや審判員、野球発展に顕著な貢献をした人が対象となる特別表彰では、96年アトランタ五輪で銀メダルに導いた元日本代表監督の川島勝司氏(77)、野球関連の著書で知られるノンフィクション作家の佐山和夫氏(84)が選出された。競技者表彰では、選手としての貢献を表彰するプレーヤー部門、指導者も対象となるエキスパート部門ともに得票率で達せず、選出者はいなかった。競技者表彰で選出ゼロは98年以来となる。 

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プロ選手対象の競技者表彰で1人も選ばれなかったのは、98年以来23年ぶり。プレーヤー部門では2年連続で誰も必要得票数の75%に届かなかった。象徴的だったのが高津氏とラミレス氏の得票数だ。殿堂入りに最も近かった2人の得票数はともに昨年と全く同じ。過去、ゴールを目前にした候補者の票数は伸びる傾向にあったが、伸び悩んだ。

票が割れた。山本昌氏、谷繁氏、小笠原氏ら将来の殿堂入りが有力視される名選手たちが今年新たに候補者に加わり、近年20人前後だった候補者数が30人になった。山本昌氏の得票数は244票で1年目ながら全体2位。谷繁氏は138票、小笠原氏も56票を獲得した。エキスパート部門でも候補者が昨年の16人から20人に増え、票が分散。殿堂入りが見えていたバース氏は6票足りなかった。

競技者表彰の候補者は同委員会の幹事会で選考される。同委員会は野球報道15年以上のマスコミ関係者(今年は363人)で構成され、互選で20人ほどの幹事を定めている。例年11月に幹事会を開き、プレーヤー部門なら最大30人、エキスパート部門なら最大20人の候補者を選定する。

プレーヤー部門では最大7人、エキスパート部門では最大5人(13年までは3人)に投票できる。ただし、現行制度になった08年以降、1人の委員の平均投票数はプレーヤー部門で5人強、エキスパート部門で4人強なので、候補者が多いとどうしても票が割れる。

かつて、落合博満氏が2年連続1票差で殿堂入りを逃したこともあり、昨年までは候補者人数を抑える傾向にあった。一方で、できるだけ多くの方々に殿堂入りの機会を設けるべきという意見もあり、今回はともに最大限の候補者を設定した。記入人数を増やす案も出ており、より良い制度を目指して今後も議論を重ねていくことになる。【沢田啓太郎=競技者表彰委員会幹事】

 

◆競技者表彰プレーヤー部門 引退後5年経過したプロ選手が対象で、その後15年間を有資格者とする。野球報道15年以上の経験を持つ委員が投票し、有効投票の75%以上の得票者を殿堂入りとする。得票率が有効投票数の3%未満の場合は、次年度以降の候補者にはなれない。

◆競技者表彰エキスパート部門 現役を引退したプロの監督、コーチで引退後6カ月を経過している者、現役引退後21年以上経過しているプロ選手を有資格者とする。殿堂入りした者と競技者表彰の幹事及び野球報道30年以上の委員が投票。有効投票の75%以上の得票者を殿堂入りとする。

◆特別表彰 アマの競技者を対象に選手は引退後5年、監督、コーチは引退後6カ月を経過した者を有資格者とする。またプロ、アマの審判員で引退後6カ月を経過した者、プロ、アマの組織などの発展に貢献、日本の野球の普及、発展に貢献した者も対象になる。プロ、アマの役員、元役員、学識経験者が投票。有効投票の75%以上で殿堂入り。