本拠地ファンの皆さま、お待たせしました。日本ハムの「道産子ドラ1」右腕、伊藤大海投手(23)が28日、「日本生命セ・パ交流戦」の中日戦(札幌ドーム)で、7回4安打1失点と快投を演じ、プロ2勝目となる本拠地初白星を手にした。自身最短KOとなった前回登板を反省し、投球フォームを変えて臨んだ初の交流戦。北海道鹿部町生まれのニューヒーローが、文字どおり、故郷に錦を飾った。

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本拠地4度目の先発で、欲しくてたまらなかった1勝を、やっと手に入れた。生まれ育った北海道でつかんだ、念願のプロ2勝目。伊藤は「特別な1勝。ちょっと…うれしすぎて…アレなんですけど…」。ヒーローインタビューでは、万感の思いに、言葉が続かない。一呼吸置くと、力強く宣言した。「絶対にファイターズのエースになれるよう頑張ります」。約5000人の前での誓い。監督室で聞いていたという栗山監督を「よくぞ、言った。とてもすてきだなと思った」と感激させた。

昨季沢村賞左腕の中日大野雄に、堂々と投げ勝った。7回1死から4番ビシエド、5番高橋周の中軸に2者連続二塁打を浴び1点を許したが、6回までは散発の2安打で二塁すら踏ませない、文句なしの投球。指揮官は「点差関係なく投げきれる集中力、試合の作り方を見ていると、本当にスケールを感じる」と、思わずうなった。

前回21日西武戦(メットライフドーム)では、自己ワーストの5点を失い、自己最短となる4回1/3でKOされた。器用さが災いし、変化球頼りの投球が続いていたことを反省。走者がいない場面では、二段モーションで投球する工夫で力強い直球を取り戻し、前回の課題をクリアした。実はこの動作、2日前のブルペン調整で初めて試したというから驚きだ。軸足に体重が長く乗ることで、体全体をゆったり大きく使えるだけでなく「(打者の)タイミングをずらすのにも使えた。これから、引き出しの1つとしてやっていけたら」。“二段の先輩”でもある同僚の加藤に話を聞きながら、憧れのダルビッシュ(パドレス)の取り組みを参考にしながら、急造で完成した。

「これからも、いろいろなことにどんどんトライして、1つでも多く、ファンの皆さんと勝利を喜びたい」。鹿部小5年の時、初めて札幌ドームでプロ野球の公式戦を観戦してから13年。北海道が生んだニューヒーローの物語は、まだ、始まったばかりだ。【中島宙恵】

▽日本ハム石川亮(伊藤を好リード)「(前回までは)どの球でもカウントが取れるので、慎重になりすぎていた。どんどんストライクゾーンで勝負していこうと、前回の投げ終わりに話し合った。前回は真っすぐが少なかった」

▽日本ハム荒木投手コーチ(伊藤に)「力で、どんどん勝負していける。押すだけじゃなく、引くこともできる冷静さを持っている。ベテランになっても出来る人はいない」