<全日本大学選手権:上武大1-0西日本工大>◇7日◇1回戦◇神宮

コロナ禍で昨年中止された全日本大学野球選手権が7日、神宮と東京ドームで2年ぶりに開幕した。今秋ドラフト上位候補の西日本工大(九州北部)の最速150キロ左腕、隅田知一郎(ちひろ、4年=波佐見)投手は毎回の14奪三振で8回1失点の快投。13年王者の上武大(関甲新学生)相手に、4番のブライト健太外野手(4年=葛飾野)の1発で初戦敗退したが11人が視察した阪神など、12球団スカウトの評価を上げた。

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隅田がスカウトをうならせた。立ち上がりから140キロ台前半の直球とチェンジアップ、スライダーを軸球にツーシーム、カットボール、スプリットと多彩な変化球を交えて毎回の14奪三振。強打の上武大を8回4安打1失点に抑え「イメージ通りの球がいった」と胸を張った。2回には4番ブライトに「他の打者にもストレートがしっかり来ることをイメージさせたかった」と直球のみの力勝負。高めの外角球を左中間席へ運ばれた。打線の援護なく、この1発に泣いて初戦で散ったが、存在感は別格だった。

阪神は畑山アマ統括スカウトや和田テクニカルアドバイザーら11人が視察。担当の前田スカウトは「一番いいのは走者を出してから打ち取れる投球。(変化球も)カウント球、勝負球のどっちでも使える。出し入れがうまい。貴重な存在です」と評価した。12球団スカウトも一斉に評価を高めた内容だった。

憧れはDeNA今永という。「全部が目標になる。プロに行くなら、こういう投手になりたい。プロでは先発にこだわり、10年、20年とやれる選手が目標です」。6月の神宮で隅田の名を全国にアピール。大成の秋に臨む。【菊川光一】

▽ヤクルト小川GM 三振が14個に変化球の質がよくキレもいい。真っすぐも140キロ後半が出ている。すべてにおいて評価は高い。

▽ロッテ永野プロ・アマスカウト部長 真っすぐとの兼ね合いもあるが、変化球のキレがいい。特に、ツーシームとチェンジアップがいいね。スタミナが少し課題でしょうか。