阪神青柳晃洋投手(28)が20日、兵庫・西宮市の球団事務所で契約更改交渉に臨み、7000万円増の1億2000万円でサインした。

今季は初タイトルの最多勝(13勝)と最高勝率(6割8分4厘)の2冠に輝き、15年ドラフト5位入団から1億大台超えの阪神ドリーム。今季先発で獲得できるタイトル&賞を総ナメにしたオリックス山本由伸投手(23)を刺激に、“青柳無双”で17年ぶりのリーグVをけん引する。

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青柳は満面の笑みで、会見場に現れた。年俸720万円だったドラフト5位入団から6年目。「思い描いていなかった」という1億円の大台を突破した。7000万円増の1億2000万円で契約を更改。「それだけ評価してもらえたのが、一番うれしいです」と声をはずませた。

最多勝&最高勝率の2冠。3年連続で規定投球回を投じ、先発の柱としてチームを支えた。球団からは「3年連続ローテーションを崩すことなく回したこと。勝ちと負けの差が(大きく)、貯金が(7個)できていること」を評価された。だが「これが最高点にならないように」と満足せず、さらなる高みを目指す。

刺激を受けた存在がいる。オリックスの山本だ。今季は最多勝やリーグMVP、沢村賞など、先発で取れるタイトルや賞を独占し、優勝の原動力になった。

「投手である限り、先発である限り、取れるもの(タイトル)は全部取りたい。今年は由伸(山本)がそうやって取っているので。『何言ってんだ』と思われるかもしれないですけど、物理的に無理じゃない」

上には上がいた。2冠では満足できない。飛び出したのは、山本と同じ先発タイトル&賞の総ナメ宣言だった。山本は東京五輪の侍ジャパンで一緒に戦い、金メダル獲得に貢献した間柄。5歳下の後輩右腕は無双と称されるほど敵なしだったが、青柳の負けじ魂にも火がついた。来季は俺も無双。有言実行を地でいく姿が本気度をうかがわせる。

今季も開幕前に「13勝」を宣言し、予告通りに実現させた。「矢野監督にはずっと13勝すると言っていたので、有言実行できてよかった」。さらに「13勝はクリアできたので、次はそれ以上の15(勝)を目標に。開幕投手も1度は経験してみたい」と青柳無双への具体的プランを明かした。

「今年は個人的には良い成績だったけど、チームは2位で終わって悔しかった。来年絶対に優勝できるように、その優勝メンバーの一員になれるように頑張っていきたい」。有言実行右腕が無敵サブマリンと化し、優勝を導く意気込みだ。【前山慎治】

◆ドラフト5位以下で入団した年俸1億円に到達した主な投手 阪神では、02年5巡目入団の久保田智之、13年6位の岩崎に次いで青柳が3人目。他球団では81年西武6位の工藤公康、83年中日5位の山本昌、91年大洋(現DeNA)6位の三浦大輔らの例がある。

◆阪神生え抜き選手の年俸1億円到達 今オフの更改で初めて年俸1億円以上となった阪神の生え抜き選手は、秋山、岩崎、近本に次ぎ、青柳で4人目となった。過去の最多は04年の3人で、藪1億1000万円、桧山1億2000万円、赤星1億円。1年で4人は球団最多となった。