元オリックス吉田一将投手(32)が、トレード期限終了の7月末までNPBからのオファーを待つ意思を固めたことが23日、分かった。「トレード期限の7月末までやれることをやって、NPBからのオファーを待ちたい」と明らかにした。13年ドラフト1位でJR東日本からオリックス入りし、通算226試合に登板し、18勝20敗2セーブ55ホールド。近年は主に中継ぎで奮闘し、16、18年は年間自己最多の21ホールドを挙げた。だが昨年は不調に苦しんでプロ初の1軍登板ゼロに終わり、オフに戦力外となっていた。

昨年12月の12球団合同トライアウトを受け、打者3人を無安打1四球に抑えたが、NPBからの誘いはなかった。社会人時代も含めての実績や野球に取り組む態度を高く評価し「吉田選手なら…」と、獲得を申し出た企業チームはあった。アマ球界の誘いに感謝しながらも「NPB最優先、復帰するというのを最優先に考えてやっていこうと思います」と覚悟を決めた。

退路を断つ道を選ばせたのは、今も耳に残るファンの歓声だ。「抑えて勝ったりとかしびれる場面で出ていったりとか、そういう場面でのファンの方の歓声を聞いたときっていうのは最高の瞬間というか、それを知ってるからこそもう1回その舞台に立ちたいって思いは強いです」。新型コロナウイルス感染拡大余波で無観客での登板も経験し、あらためてファンがくれる力の大きさを再認識した。「あの舞台でもう1度、投げたい」という思いが募った。夫人には「いろいろ相談しましたけど」安定した生活に背中を向ける決断を認めてくれた。

昨年苦しんだ投球フォームの不調は「だいぶクリアになってきました」と、納得のいく投球ができるまでに回復した。同じJR東日本出身の西武十亀らとの自主トレを21日に打ち上げ、1月中は大阪、2月は母校の日大で練習を続ける。独立リーグに所属して実戦感覚を保ち続けながら、NPBからの連絡を待つ。「気持ちも体も含めて、まだやれるという思いがあります。(野球は)どこかでやめなくてはいけないんですけど、後悔のないようにしたい」。燃え尽きる日まで、力を尽くす。【堀まどか】