巨人の「不屈打線」が終盤の逆転劇を生んだ。3点を追う8回、四球、連打、犠打など打者9人で多彩な攻撃を繰り出して5得点。昨季は2回しかできなかった3点差以上をひっくり返しての白星で、開幕から2試合連続の逆転勝ちを決めた。新守護神のドラフト1位大勢投手(22)は9回に登板して3者凡退で締め、球界初の新人の開幕から2試合連続セーブを達成した。

【ニッカン式スコア】26日の巨人-中日戦詳細スコア

3点を追う8回裏。残すは2イニングだったが、うつむく者はいなかった。現役時代から「男」の愛称を持つ村田修コーチを中心に円陣を形成。たぎる思いを共有し、中日の救援陣をにらみつけた。無死一、二塁と攻め立て、打席に中田。「3点負けていたので後ろにつなぐ気持ちでした」と適時二塁打でこぶしを突き上げると、巨人ベンチが沸いた。

続く丸が一ゴロで三塁走者を迎え入れ、代打中島が同点打。大城が犠打でつなぎ、若林とウォーカーの適時二塁打で突き放した。昨季2度しかできなかった、3点差以上の逆転勝ち。若林は「これだけチームが粘り強く、その前の翔さん(中田)とかもすごい感情出していたのでその流れに乗れたかな」と振り返った。

今季、チームで貫く信念がある。1月、原監督は2年ぶりに行った国際武道大のオンライン講義で、コロナ禍で学生生活を送る若者の心情を思いつつ訴えた。

「どういう状況であっても前を向く。一歩ずつ進む。ギブアップはしないということだよね。前向きにいっておけば、仮に結果が悪くても、必ずいい経験、いい糧としてつながるよ。こういう状況でもね、やれることを探そうじゃないか」

チームスローガンは「不屈」。常にファイティングポーズをとることを求める。思いがあれば、形にはこだわらない。8回の全員攻撃では「あの一打が非常に大きかった」と、食らい付いて走者を生還&進塁させた丸の一ゴロを評価。「ああいうビッグイニングというのは全員の力が結集しないと出ない」と、各自の「不屈」を感じ取った。

左脇腹痛の主将坂本を離脱で欠く中、2試合連続逆転勝ち。それでも原監督は「明日になればまたフラットな形から1イニング目を迎えるわけですからね。しっかり気を引き締めながらやることが大事」と締めた。逆風が吹こうが苦難が待とうが、巨人は前だけを見て歩を進める。【浜本卓也】