ボールが飛ばなくなっていたとしてもOK。球界屈指のパワーヒッターの哲学だ。西武は15日、ベルーナドームで交流戦明け最初の全体練習を行った。目下12球団トップ20本塁打の山川穂高内野手(30)はフリー打撃で柵越えを連発。17日に再開するリーグ戦を前に状態の良さをうかがわせたが、今季のボールは「飛ばない」と断言した。

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左の打撃投手に対しては控えめだった山川だが、右投手に代わった途端、一気に加速した。21スイングで14本の柵越え。引っ張って、ポンポンと放り込んだ。ところが「ボール、飛ばないです。間違いないです。確信は持ってます」と、今季のボールは昨季よりも飛距離が出ないと断言した。

打った感覚は変わらないという。ただ「打球速度に対する飛距離を見ても飛んでません。だいたい160キロ、出たらホームランは打てる。僕は速い時は180キロぐらい行くけど、その時の飛距離が飛んでない」と、数字に差が現れているとした。

そこで、日刊スポーツによる推定飛距離も比べてみた。全本塁打、記者による推定飛距離が記録されている。球場による条件の違いを除くため、ベルーナドームに限定し、昨季と今季ここまでの山川の本塁打の平均飛距離を算出した。昨季8本の平均が119・4メートルだったのに対し、今季ここまで11本で平均114・5メートル。4・9メートルも少ない。

統一球の反発係数は「0・4134」という目標値が定められている。実際の反発係数がどうであれ、山川は動じない。むしろ「飛ばない方がありがたい。僕は入る打球が、他の人だと(入らない)」とニヤリと笑った。本当に飛ばなくなっていたとしても、本塁打になるだけの飛距離は出せる。大ホームランも、フェンスギリギリも同じこと。真のホームランバッターだから言える言葉だった。

現在689試合で197本塁打を放った。100号、150号に続く日本人最速での通算200号(田淵幸一、秋山幸二の714試合)に迫る。「意識してません。めちゃめちゃ通過点」と意に介さなかった。再開するリーグ戦でも、アーチ量産で勝ちに導く。【古川真弥】

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