秋山翔吾外野手(34)の日本球界復帰は、来春にWBCを控える栗山ジャパンの追い風となる可能性がある。「1番中堅」を任せられる存在だからだ。メジャーの場合、選手本人がシーズン開幕直前のWBCに出場を希望しても、実際に出場できるかは所属球団の意向が強く働く。12球団挙げて協力態勢にある日本に戻ってきたことで、ハードルはなくなった。

ここ数年、1番および中堅は、代表監督の悩みの1つになっている。前任の稲葉監督は、最終的には1番にヤクルト山田、中堅はソフトバンク柳田を起用。もちろん、両選手とも実力、実績とも申し分ない。ただ、山田はクリーンアップでも使いたい選手だし、柳田はもともと中堅手とはいえ、今季は右翼がメイン。その点、秋山ならすんなりピースが埋まる。

現在の日本球界にもヤクルト塩見、阪神近本、日本ハム松本剛ら「1番中堅」の候補になりそうな選手はいる。だが、秋山には彼らにはないアドバンテージがある。言うまでもなく、米球界の経験だ。

昨年12月の就任来、栗山監督は代表にメジャー経験者が加わるメリットを強調してきた。単純な戦力としてだけでなく、周りに与える好影響も含めてのこと。特に打者は、前回17年大会も含め、長らくてこずる速く動くボールへの対応をカギに挙げる。秋山自身、メジャーで苦闘しながら、そのボールを肌で感じたはず。まずは、もう1度、日本で実力を証明する必要はある。本来の力を発揮すれば、3大会ぶりの世界一奪回への推進力となり得る。フォア・ザ・チームの精神は強い。栗山監督が代表の第一の資質に求める“魂”も持っている。【侍ジャパン担当=古川真弥】