指揮官の命令を豪快に“無視”した。阪神森下翔太外野手(23)が「自分の思う限りは初めて」という先頭打者本塁打で試合を決めた。初回第1打席、メルセデスから弾丸ライナーで左翼へぶち込んだ。
試合前の打撃練習を終えたタイミングだった。岡田監督に声をかけられた。「『ホームランは打つな』言うたのに。『その代わり全部塁に出ろ』言うたんやけど」と指揮官が明かす。それに対し「全打席出塁します、みたいなことを言いました」。リードオフマンの仕事を全うする気概にあふれていた。「してこい」と全打席出塁を託されたが、結果はいきなりの1発だ。
ダイヤモンドを1周し、岡田監督とハイタッチすると「なんでホームラン打つんや」と“叱り”を受けた。「聞こえてないですけど『ホームラン狙わずに出塁してこい』って言われて打ったので、何か言われてるのかなと思いました」と持ち前の天然ぶりを発揮。「打順を1番にしたからの。それ(本塁打)より塁に出ろってな」という指揮官の意図は見事に裏切られたが、結果的には虎の子の1点となった。「その時点では分からへんけどな、終わってみればやけど」。岡田節でたたえられた。
「ホームラン打つな指令」は森下にとって金言だった。長打への欲を捨てることができた。「大振りなところが練習でも出ていたのでコンパクトにいこう、と」。4月26日ヤクルト戦以来、106打席ぶりのアーチ。6号は近本と並びチームトップ。初回「表」先頭打者本塁打の1-0勝利は球団初のレア弾となった。
試合前には平田ヘッドコーチから「チームの顔が1番」と送り出され「自分が(1番で)立つことでプレッシャーを与えられる」と気合が入った。第2打席で左前打を放ちマルチ安打。「交流戦も2カード消化しただけ。巻き返せると思うので、引き締めてやっていきたい」。勢いに乗って甲子園に帰る。【中野椋】



