阿部巨人が中日を破り、首位ターンに望みをつないだ。今季2度目となる「左翼岡本和」を中心とした超攻撃的打線で、先制、中押し、追い打ちと試合を優位に運ぶと、最後は勝ちパターン継投で逃げ切った。今カード1勝1敗とし、中日との今季対戦成績は7勝7敗1分け。34年ぶりとなる前半戦の同一リーグ全カード勝ち越しターンも見えてきた。
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肉薄する首位争いで、強烈なプレッシャーをかけたのは、超攻撃的打線だった。1点リードの3回2死から、吉川が右前安打で口火を切ると、ヘルナンデス、岡本和が連続で悠然と四球を選び満塁。5番大城卓の右前2点適時打で突き放した。今季2度目となる「左翼岡本和」を中心とした布陣。一塁大城卓、三塁坂本と実力者を並べた阿部監督は、攻撃的采配に「そのつもりでやっているので」と効果的に打ち崩し連敗を阻止した。
バンテリンドームで自ら描いたあの弾道を思い出した。5月6日から始まった敵地中日3連戦での試合前練習でのことだった。かつて監督として横浜(現DeNA)を優勝に導いた権藤博氏が、1枚の紙を持って現れた。優勝した11年前のシーズン。13年4月30日の中日-巨人、完封劇を演じた杉内投手チーフコーチに手渡そうと持ってきたスコアシートだった。
興味津々にのぞき込むと「4番阿部」は初回、逆方向の左翼席へ先制2ランをたたきこんでいた。「覚えてますよ」とスタンドを指さし「これ、僕がもらっていいですか?」と持ち帰った。開幕2カード目で負け越した敵地で、“守り紙”を手にしたそのカードを勝ち越し、今カードも1勝1敗に持ち込んだ。
混セの首位ターン攻防戦は、21日の前半戦最終戦までもつれ込んだ。激しさの一方で、阿部監督に実感はそれほど、ない。「首位ターンなんてできると思ってなかったからね。とにかく明日の1試合だけを勝つ。その後『首位だったんだな』くらいでいいかなと思います」。前半戦首位に何の勲章もない。勝つことに意味がある。【栗田成芳】



