阪神担当が独自の視点で取材する今回の「虎番リポート」は、「長期ロード」について迫った。かつて「死のロード」とも言われた阪神球団特有の夏場の長期遠征。選手や球団関係者の本音とは?

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阪神が8月1日を最後に甲子園を離れてもう2週間。9連戦の最後だった14日巨人戦(東京ドーム)を終え「長期ロード」を5勝7敗で折り返した。

かつては家に帰れない、移動がきつい、ずっと炎天下…などの重苦で「死のロード」と呼ばれた。だが岡田監督は出発前に「ロード言うても、あんまりそういう感じじゃないけどな」と笑っていた。今年から選手会長の中野は「選手会からは球団に何も要望していません」と、環境面で大きな不満はないと明かした。

11年目の岩崎は「毎年この時期と決まっているので『そういうもの』としか思わない。休むには家の方が多少は楽ですけど、まあ1週間で帰れますし。キャンプと比べたら…」と平然。3人の子どもがいる原口も「家族に早く会いたいなとは思いますけどね。テレビ電話もありますし」とスマホが癒やしになっている。

環境は確かに悪くない。例えば食事。各ホテルには食事会場があり、ナイター後も栄養を考慮した温かい食事がとれる。デーゲーム後は会場のほかに、飲食店で使える食券が球団から配布される。弁当にして自室で食べても、自由に外食するのも当然OK。暑い8月にドーム球場で多く戦えるのもプラス。遠征慣れした選手がストレスを感じていないのも、うなずける。

デメリットも当然ある。甲子園なら早くに来てマシン打撃、ウエートトレ、治療など自由にできるが、遠征先では限られる。ホテル内のジムで軽く動いたり、個人で外のジムに足を伸ばしたりと工夫。原口は「打撃練習が短くなる。調子が悪ければやっぱりバットを振りたいが、思うようにできない」と挙げた。

今年は28日間も甲子園を空ける。大事な時期に甲子園を使えないのはマイナスかもしれない。形状や風が独特で、慣れている球団に利がある。ただ、京セラドーム大阪(以下京セラD)での成績も悪くないし、逆に9月は集中的に甲子園を使える。本拠地で胴上げできる可能性も増える?

日程面でも配慮されてきた。ヤクルトは昼間に大学野球が使うし、巨人も都市対抗や大学野球に譲る期間があるが、阪神は春夏2回とも長期にわたる。リーグと各球団で話し合う日程編成会議でも自然と優先事項となる。そもそも開幕戦を甲子園で行えない「運命」を受け入れている。

甲子園の球場長も経験した粟井球団社長は「高校野球は大事にしようと、球界全体でなっています。京セラドームさんや11球団の皆さんが最大限に配慮してくださり、快く受けてくれている。そのご協力があるから、高校野球に明け渡すことが続けられています」と感謝した。プロ野球の日程は3カード連続ビジターを極力避けて作成されている。「京セラDで2カードできるから(8月の)日程を組めています」と同社長。遠征2カード、京セラD、また遠征2カード、京セラDという形だ。今年、「東京→横浜」「東京→名古屋」がセットなのも移動負担への配慮だろう。

大事なのは優勝争いに向かっていく8月をいかにして戦うか。それは昔も今も変わらない。【柏原誠】

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