チェコ代表のマレク・フルプ外野手(25=米独立リーグ)が巨人に育成選手として入団することが24日、分かった。最終的な手続きが完了後、正式発表される。昨年3月のWBCにチェコ代表として出場。ロッテ佐々木の163キロ直球を左翼線に二塁打を放ち、注目を集めた。“野球未開の地”から出現した強肩強打の外野手が来日する。
巨人は世界中の才能をマークしている。フルプは昨年7月から米独立リーグのアメリカン・アソシエーションに所属するレイクカントリー・ドックハウンズでプレー。継続的に情報を収集し、育成選手での獲得に動いた。今季の支配下登録期限は過ぎているが来季以降を見据えての入団となる。
プロ野球界でチェコ国籍の選手は史上初となる。欧州出身選手も球界でもレアケースで、巨人では36年ロシア出身で無国籍のスタルヒン、97年ドイツ出身で米国籍のデビットがいるが、欧州国籍は第1号となる。
昨年3月の第5回WBCでは、欧州からチェコを含む4カ国が本大会に出場した。イタリアが準々決勝に進出するなど、欧州にルーツを持つ選手のレベルが急上昇している。一方、チェコは国内の野球人口が1万人に満たないといわれるなど、まだ野球界で欧州はまだ“未開の地”とされる。
フルプの挑戦は、野球の世界的普及への大きな1歩となる可能性が十分にある。フルプ自身、野球を通じて母国チェコとの架け橋となってきた。二十歳で単身渡米。大学でプレーした後、米独立リーグ球団に加入した。
米国で着実にレベルアップを図り、WBC予選では打率3割5分3厘、2本塁打、長打率7割6厘でチェコ初の本大会出場に貢献。日本での1次ラウンドでも打率3割3分3厘、出塁率4割7分1厘、長打率4割1分7厘をマーク。佐々木朗の160キロ超の直球に快音を鳴らし「あれがWBCで一番好きな瞬間だった。私たちはヨーロッパに優れた野球があることを示したい」と、アマチュア選手が中心のチェコ野球の中で、注目を集めるきっかけをつくった。
今年3月には欧州代表の一員として再来日。日本代表との強化試合は2試合で計6打数無安打も、くふうハヤテとの練習試合では京セラドーム大阪の左中間に3ランを放って長打力を発揮した。
巨人は今季途中にヘルナンデス、モンテスと大リーグのマイナーが主戦場だった選手を獲得。2選手とも開幕前に2軍調整を拒否して帰国したオドーアの穴を埋める以上の活躍を見せている。米国内での単純な実績よりもプレースタイル、日本野球への適応能力の見極めを重視したスカウティングが功奏した。欧州での野球発展、世界規模の意外性、大きな夢が、フルプに入団につまっている。
◆マレク・フルプ 1999年1月9日、チェコ共和国生まれ。高校卒業後に渡米。大学時代は5シーズンで39本塁打。23年から北米独立リーグのレイクカントリー・ドックハウンズに所属し、通算114試合出場、400打数110安打、16本塁打、68打点、打率2割7分5厘。23年WBCではチェコ代表入り。3月11日の日本戦で佐々木朗希から二塁打をマークした。193センチ、99キロ。右投げ右打ち。
◆巨人の主な外国出身選手 米国やドミニカ共和国などを除いた少数派では、97年に登板7試合で4セーブを記録したデビット投手がドイツ出身だった。通算303勝のスタルヒン投手はロシア出身だが、幼少から北海道で過ごし、在籍当時は外国人選手枠もなかったため、日本人選手として登録されていた。
◆欧州出身の主な選手 WBCチェコ代表のミラン・プロコップ内野手が今季のBCリーグ・神奈川でプレーしたが、NPBでチェコ出身選手が誕生すれば初めてとなる。過去には12~15年にWBCイタリア代表のマエストリ投手がオリックスに在籍。15~21年にソフトバンク、ヤクルトで通算43勝のバンデンハーク投手はオランダ出身。オランダの海外領出身ではヤクルトのミューレン、バレンティンや、13年楽天の日本一に貢献したジョーンズらがいる。
◆23年WBCのチェコ代表 日本と同じB組に所属。3月11日の日本戦では佐々木朗希を相手に1点を先制するなど奮闘を見せた。初戦の中国戦こそ勝利したが、その後は日本、韓国、オーストラリアに3連敗して敗退した。試合以外では佐々木朗希がお菓子を持参して死球を直接謝罪したことをきっかけに日本との交流が話題に。選手間の交流が行われ、日本代表が米国入りした際には大谷翔平がチェコ代表のマークと国旗が入ったキャップをかぶって登場する場面もあった。



