これぞ4番の働きだ! 25年の日本シリーズが開幕し、阪神が佐藤輝明内野手(26)の決勝打で先勝した。1点を追う6回に3番森下の内野ゴロで追いつくと、主砲がソフトバンクの最多勝右腕、有原から右中間へタイムリー二塁打を決めた。佐藤輝は23年の日本シリーズは1打点止まりで、同8戦目の初適時打が千金のV打。阪神はみずほペイペイドームでの頂上決戦で7戦全敗だったが、リーグ2冠が呪縛を解き、会心の逆転勝ち発進に導いた。

   ◇   ◇   ◇

嫌なムードをひっくり返したのは、阪神が誇る4番だった。敵地を埋めた虎党を佐藤輝が歓喜させた。0-1から追いついた直後の6回1死三塁。3ボールから先発有原のチェンジアップをしっかり拾い、右中間へはじき返した。直前までの2打席は無安打に抑えられたが高い対応力を発揮。打球は人工芝に勢いよく弾み、一気に二塁を陥れた。

「いい形で、いいところに落ちてくれた。3回目でね、イメージもつかめたので。よかったです」

有原の前に打線は5回まで無得点。だが、6回に近本と中野で無死二、三塁の好機をつくり、3番森下が遊ゴロでしぶとく同点。そして4番が最高の結果で応えた。みずほペイペイドームの三塁側は阪神ファンでビッシリ。関西からもはるばる駆けつけた虎党に最高の逆転白星発進を届けた。

日本一をつかんだ23年の日本シリーズ7試合は、打率1割4分8厘。内野ゴロで挙げた1打点のみで、目立った活躍はできなかった。だが40本塁打&102打点の2冠に輝いた今季は違う。2年間の成長を初戦から見せつけ、日本シリーズ初適時打が値千金の決勝打となった。

これが藤川監督の日本シリーズ1勝目。今季4番を託された主砲は、指揮官の言葉で特に印象に残っているフレーズがある。

「最初から言われていた『姿勢』。ずっと言われてきたことなので、常に意識している部分ですね」

マイペースな性格で、近大時代には三塁守備でも際どい打球に飛びつかず、叱られたこともしばしば。「ドロドロになれ」と怒られたこともあった。プロ5年目を迎え、チームをけん引する立場となった今季は、心身両面で分厚くなった姿を見せている。「いけると思った」と全力疾走で陥れた6回の二塁打。すべてのプレーで、指揮官の求める「姿勢」を体現している。

チームは過去、みずほペイペイドームでの日本シリーズは7戦7敗だったが、“8度目の正直”で呪縛を解いた。3、4番の打点で挙げた勝利に藤川監督も「彼らの打撃で得点できたことは明日以降にもつながると思います」と目を細めた。両リーグの王者同士がぶつかる頂上決戦。虎の4番が会心のV撃で、チームを乗せた。【波部俊之介】