「右ゴジラ」が火を噴いた。巨人宮崎キャンプ第1クール最終日の4日、ドラフト1位大田泰示内野手(18=東海大相模)が、原辰徳監督(50)から直接指導を受けた新フォームで鋭い打球を連発。フリー2発、特打では初の場外弾、3連発を含む24発を放った。これまでは右脇を開け懐深く構えていたが、両脇をギュッと絞り、体を開かずアーチを量産した。最短でバットを振る姿は、松井秀喜を左右対称にしたよう。「よくボールが見え良かったと思う」。新フォームを手に「55」が変わり始めた。
長い両腕をきれいにたたんだ。グリップから出たバットは、ヘッドが立ったまま、ヘルメットに添って円い弧を描いた。控えめな大田も「まだ納得はいかないけど。ちょっといいかな、という打球は何本かあった」。初の3連発に場外弾。258スイング中24本塁打の居残り特打は、中堅を中心にほどんどが鋭いライナー性。柵を越えない打球にも内容があった。
一夜明けた「55」は別人だった。1100グラムのマスコットでなく、890グラムの白木のバットを初めて使った。だが、この210グラムの差が理由ではない。原監督のマンツーマン指導を、即実行できた。
3日、室内ドームで2時間、打撃の基礎をたたき込まれた。高校通算65本塁打を放った強打者は、根底から考え方を変えることに決めた。
大田
今までは右手で強くボールをとらえることを意識していました。でも、それではプロの、特に変化球は通用しません。
右脇を大きく開け懐深く構えるスタイルを素直に捨てる潔さが、この18歳にはあった。ギュッと両脇を締めたまま、最短距離でバットを出す-。多くの一流が持つ打撃技術だった。
大田
2本の腕を1本と考えて、「バットからの1本の太い棒」とイメージする。最初から最後まで。
グリップの位置は自然と下がった。ティー打撃の合間もバットをゆっくり振り、バットの軌道を確認した。上体の無駄な動きをそぎ落とすと、つらい長距離走後の特打でも、しっかり下半身が使えた。「窮屈な感じも特になかった。素直にバットが出てくる。ちょっと変わったかな」。ちょっとではない。劇的な進化だった。
原監督は第1クールを大田の観察期間に充てず、あえて直接指導を行う形をとった。「基礎がしっかりしていた方がいい。スタートライン、ゼロの位置を間違えなければ、到達点もいいところに行く。正しくスタートさせてあげたいから」。どこまでも高い到達点をイメージしての愛の指導は吉と出た。大田は「またカベに当たる。力を抜いて自然体で。1年目は1年目。『55』の誇りを持って」。フォームだけでなく、心の土台も固まった。【宮下敬至】
[2009年2月5日9時35分
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