<オールスターゲーム:全パ1-4全セ>◇第1戦◇20日◇京セラドーム大阪

 球宴の幕開けを告げたのは、初出場の日本ハム陽岱鋼外野手(25)のバットだった。1回、杉内の134キロ直球を、右中間スタンドへ運ぶ先頭打者弾。「狙ってはないです。追い込まれていたので、逆方向を意識していました。(外野手の)頭は越えたと思ったけど、びっくりした。持ってましたね」。パの先頭打者アーチは96年のイチロー以来、球宴初打席初本塁打も、史上15人目の快挙。9回にも二塁打を放ち、敢闘選手賞をかっさらった。

 チームでは5~7番を打つことが多いが、「1番中堅」は“ブレない”目標。栗山監督が「俺も見たかった」と話した1番陽、2番糸井の打順が、ソフトバンク秋山監督の心遣い?

 で実現した。「自分のスタイルを出していきたかった」。三振も多いが、思いきりがいいのが陽の特徴。栗山監督へ向けても強烈にアピールする、最高の1発になった。

 日本プロ野球の選手会が不参加を決議したWBCだが、陽は台湾代表の候補として、現地野球協会で名前が挙がっている。「選ばれたら、行きたいですね」。スターへと駆け上がる最初の1歩。近い将来の飛躍を確信させる、確かな足跡を残した。【本間翼】

 ▼日本ハム陽岱鋼が先頭打者本塁打。球宴の先頭打者本塁打は01年第3戦の高橋由(巨人)以来8本目。パの打者では96年第1戦のイチロー(オリックス)以来になる。球宴初打席本塁打は07年第1戦の森野将彦(中日)以来15人目で、初打席で先頭打者本塁打は68年第1戦のロペス(東京)以来44年ぶり2人目だ。