<神宮大会:東北福祉大1-0大体大>◇3日目◇25日◇大学の部準々決勝◇神宮

 東北福祉大(東北3連盟)が大体大(関西5連盟)にサヨナラ勝ち。3年ぶりの準決勝進出を決めた。8回1死満塁のピンチに救援した左腕相原和友(4年=宮城・東陵)が以降を0封。9回裏、先頭の3番尾形裕介右翼手(4年=同)が右翼席に劇的サヨナラアーチ。地元東陵出身コンビの活躍で接戦を制した。

 東北福祉大ベンチ、応援席の歓声がとどろいた。尾形が1発で決めた。大会史上8人目、東北福祉大では89年の金本知憲以来のサヨナラ本塁打。「投手陣が頑張っていたので、どんな形でも出塁しようと思っていた。二塁を回ったあたりで歓声が聞こえた。最高にうれしい」。尾形は笑顔で声を弾ませた。

 高校からの同期・相原も劇的勝利へ導いた。8回1死満塁のピンチを切り抜け、9回は3人でピシャリ。「相手投手が良かったので、1点もやれなかった」。6月の大学選手権の初戦(2回戦)愛知学院大戦では9回に登板。3失点で4-5の逆転負けを喫した。この日、そのリベンジを果たした。

 相原が投げて尾形がサヨナラアーチ。実は2人が東陵3年の春、宮城県大会地区予選の代表決定戦でも決めていた。その時は県大会でも優勝。縁起のいいパターンだ。相原は七十七銀行、尾形はJR東日本東北と、ともに地元の社会人入りが内定しているが「大学最後の大舞台。2人で優勝して終わりたい」と尾形は力を込めた。

 尾形は東松島市出身。震災の津波で実家が流され、両親は母の実家で暮らす。同居していた父方の祖父母は仮設住宅暮らし。祖父母は災害ボランティアも行った尾形の活躍を一目見ようと、今大会初戦からこの日まで観戦し応援。その目の前で、大会史に残る最高のプレゼントを贈った。

 次は強敵明大が相手。「粘って粘って守り勝つうちのスタイルでぶつかりたい」と尾形。被災地を元気づける戦いが続く。【北村宏平】