<プロ野球ドラフト会議>◇24日

 桐光学園・松井の交渉権獲得から2時間がたっていた。楽天8巡目、全体で76人目。練習後、テレビ中継を見ずに待機していた日本製紙石巻・相沢晋(26=石巻専修大)は「(ドラフトに)かかるとはあまり思っていなかった。第2の故郷で、憧れていたプロになれてうれしい」と語った。

 新潟出身だが、宮城で花開いた。石巻専修大から日本製紙石巻に入社4年目。直球の最速は140キロから146キロに伸びた。今季からは、投手コーチも兼任するチームの大黒柱に成長した。今年の都市対抗野球予選ではMVP。「ムービングボールと変化球で打たせて取る投球」で、本大会8強入りの原動力となった。「(ヤンキースの)黒田投手みたいに、シュートを使えるようになりたい」

 指名9人中、5人が東北関連の選手。中でも相沢は、震災で被害の大きかった石巻から大舞台に挑む。「復興の象徴でもある。自分が活躍してテレビに映って少しでも元気になってくれたらと思う」。遅咲きの26歳が、確かな覚悟を胸にプロに飛び込む。【今井恵太】