海外リングでプロボクシングWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)の「次期挑戦者」たちが決まった。

15日(日本時間16日)に米ニューヨークで、元IBF世界同級王者で同級6位のエマヌエル・ロドリゲス(30=プエルトリコ)が、同級4位ゲリー・アントニオ・ラッセル(29=米国)とWBA、IBF世界同級挑戦者決定戦に臨み、10回0分2秒、負傷判定勝利を挙げた。8月のラッセル戦は1回の相手バッティングで無効試合となり、今回も相手の頭直撃でカットし負傷判定となったものの、試合内容はロドリゲスが圧倒。9回にはダウン寸前まで追い込んでいた。

ロドリゲスは19年5月、階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ準決勝で当時のWBA正規王者井上尚弥(29=大橋)に2回TKO負けを喫して王座陥落。18年5月にはポール・バトラー(33=英国)とのIBF世界同級王座決定戦で判定勝利を収めている。対戦した2人が12月13日、東京・有明アリーナで4団体王座統一戦で拳を交えることが決まった。ラッセル戦前、ロドリゲスは「バトラーが井上と5回も持つとは思えない。井上は私が今まで対戦した中で最高のファイターだ」と褒めちぎった。

WBAスーパー、IBF王座はともに井上が保持しており、ロドリゲスは再戦の権利を得たことになるが「井上はバトラーに勝てば階級を上げると信じているので、世界王座を狙っていきたい」との見通しを明かした。強豪ラッセルに快勝したロドリゲスだったが、井上との再戦を望まず、王座返上を待つ姿勢を貫いた。

さらに16日にはオーストラリア・メルボルンでWBC世界同級挑戦者決定戦も開催された。同級1位ジェーソン・モロニー(31=オーストラリア)が同級2位ナワーポン・ソールンビサイ(31=タイ)と対戦し、3-0の判定勝利でWBC同級挑戦権を獲得した。タフなナワーポンに対し、ボディー攻撃や手数で攻め続けて試合の主導権を握り続けた。

20年10月、米ラスベガスで井上に7回KO負けした後から再起し、再び王座挑戦できるランクまで浮上してきたモロニーは試合後に「井上がどうするか様子を見たい。彼はスーパーバンタム級に上げるようだ。だからWBC王座は空位になるだろう。それが私の夢だ。次はWBC世界王座だ」とロドリゲスと同様、モンスターの王座返上を待つ姿勢を示した。

バンタム級世界王座の次期挑戦者決定戦で、勝者はいずれも井上が撃破した相手だった。いずれも快勝したロドリゲス、モロニーの次期挑戦者2人が再戦を望まず、王座返上を待っていることが、あらためて井上の強さを物語る。バンタム級の世界上位ランカーたちも井上の4団体王座統一を信じて疑っていない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)