近畿大学は2日、大阪市内で会見し、ボクシング部監督(29)のセクハラおよびパワハラ問題についての調査結果を発表し、監督を同日付で諭旨解雇処分とした。

 同事案は6月28日に被害者である女子選手2人の訴えによって発覚。大学は監督を自宅待機とし、同大学のハラスメント全学対策委員会が設置した「調査・調停委員会」が調査を行ってきたが、監督から選手に対する性的な言動により相手に著しい苦痛を与えるセクシュアルハラスメント、練習中に度を越した指導を行うパワーハラスメントがあったと認定した。日本ボクシング連盟はすでに監督に対し除名処分を下している。

 大学によるとセクハラ行為は昨年夏前から、パワハラに関しては年明け1月から約半年間行われていたという。セクハラに関しては背後から肩をもむ行為などがあったとし、パワハラに関してはマスボクシング(相手にパンチは当てず、動きを確認する練習)で、強打を放つなど「度を超した強化があった」という。パワハラに関しては男子選手にもおよんでいるとした。

 問題発覚から処分までの経緯として、大学職員でもある監督の解雇も含めた処分に「慎重を期した」とし、同委員会は9回の会合をもったことを明かした。そのうちの1回は、監督を呼んで直接事情聴取する機会もあった。当初は「冗談でした」「何が悪いのか」という姿勢も、次第に反省の態度に変わったという。しかし、大学側に2度の謝罪文を提出も、セクハラ被害の女性選手に対する謝罪はない。

 6月28日に訴えを受けたのは、同部の女性部長。体育会系部においては教員が部長を務めることになっており、ボクシング経験はない女性部長も今年4月に就いたばかりという。「研究室に2人、緊張した様子でした。私も4月になったばかりで、まだ親しい間柄ではなかった。でも話を聞いていく中で、耳を疑うようなとんでもないこと。『明らかなセクハラ』と言うと少し安心した様子でした。監督の処罰を望むか聞くと、望むということなので、大学で調査すると答えました」。その後も電話で相談に応じることもあった女性部長は「監督を訴えたことで、おびえた様子でした。またネット等で情報が流され、精神的苦痛を受けていました」と明かした。

 大学を休みがちだった女子選手だが、保護者に試験を受けるよう説得され、最近は部の自主練習にも顔を出すようになったという。引退した4回生を除き、男子21人、女子4人、女子マネジャー1人が在籍。今後の活動に関しては鹿田昌司・スポーツ振興センター事務長が7月12日付で監督代行に就任も、後任の監督については未定。

 元五輪代表選手でもあった監督。女性部長によると「会った時は礼儀正しい好青年の印象。それだけに今回のことは耳を疑った」。大学によると監督は、今回の件を踏まえて指導法の誤りを反省しつつ「また指導する機会があった時には」と話しているという。