ボクシングのIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦は9日(日本時間10日)に米ラスベガスのマンダレイ・ベイ・リゾート&カジノで行われ、世界初挑戦となる同級4位尾川堅一(29=帝拳)が同級5位テビン・ファーマー(米国)を2-1(116-112、115-113、1112-116)の判定で破り、新王者となった。

 日本人としては81年の三原正以来36年ぶり5人目の米国での王座奪取となった。

 序盤、守備にたけた技巧派サウスポー相手に、中間距離からの鋭い踏み込みを生かした右ストレートをあてた。カウンターの左フックを顔面に受けて体制を崩す場面もあったが、一切ひるまず持ち前の気持ちの強さが攻勢に出続けた。7回には右ストレートを顔面に打ち込んで、ファーマーを棒立ちにさせるなど、「矛対盾」という形容詞がぴったりくる戦いで、相手の盾を貫いた。

 尾川は15年に死去した父雅一さん(享年53)の指導のもと、2歳で日本拳法を始めた。関西発祥でパンチ、蹴り、投げが認められている格闘技に打ち込み、主将として団体で全国3連覇をとげた明大を卒業するまで20年間活躍した。その後「日本拳法では殴るスタイルで自信があったので、ボクシングの世界で世界一になりたいと思った」と転向し、競技歴7年目となる。異色のキャリアを持つ男が、プロ24戦目で有言実行のベルトを巻いた。