日本プロスポーツ大賞の授賞式典が20日に都内で行われ、10月にWBA世界ミドル級王者となったボクシングの村田諒太(31=帝拳)が殊勲賞に輝いた。この日、NHK紅白歌合戦でゲスト審査員を務めることも決定。出演する歌手Superflyのファンで、その歌詞にあるように、防衛戦が待つ18年も逃げずに戦い続ける。大賞はプロ野球ソフトバンクが受賞した。

 びしっとスーツで決めた村田が歌詞をそらんじた。「アンタはいつもギリギリで逃げるでしょ? だからいつも自由から遠ざかるばかり」。

 歌い手はSuperfly、曲名は11年に発表された「Beep!!」。ロンドン五輪で金メダリストになる前年、ミドル級では不可能といわれたアマチュアの世界選手権で銀メダルを獲得。それが今年10月、アッサン・エンダム(フランス)を7回終了時TKOで破りプロでの世界王座戴冠にまでつながる、栄光の始まりだった。「本当によく聴いていた。勝利で自由も得られると思っていて。新しいステージに上がるには逃げてはいかんな、と」。歌詞通り、金メダリストの重圧を受け止め、勝ち、ベルトを巻いた。

 そして、初防衛戦が春にも控える18年、王者となってもその逃げない姿勢は変えない。「強い相手とやりたい」と難敵を求める。17年の「ご褒美」として生歌が聴ける「うれしい」紅白の舞台は、その気持ちを再確認する場となりそうだ。

 年末はさまざまな賞の授賞式などに引っ張りだこで、他競技のアスリートとも交わる。先日は東洋大の後輩になる陸上の桐生祥秀と対談。日本人初の100メートル9秒台を出した後輩に「彼の活躍が励みになる。互いに刺激をし合いたい」と活躍を誓った。今年の1文字は「変」。立場は挑戦者から王者に変わったが、気持ちは逃げないあの頃のまま。「初防衛戦に勝ち、もっと大きな舞台に進める年にしたい」と、飽くなく新しいステージを目指す。【阿部健吾】

 ◆日本プロスポーツ大賞主な受賞者 大賞 ソフトバンク(野球) 殊勲賞 村田諒太(ボクシング)、サファテ(ソフトバンク)、佐藤琢磨(レーサー) 最高新人賞 京田陽太(中日) 功労賞 表純子(女子ゴルフ)、内山高志(ボクシング) 新人賞 畑岡奈紗(女子ゴルフ)、中山雄太(J1柏)、拳四朗(ボクシング)