王者末吉大(27=帝拳)が同級1位大里拳(23=大鵬)を8回TKOで下して初防衛に成功した。中盤以降に得意のジャブを効果的に強く顔面に集め、最後は右ストレートで大きく腫れ上がった大里の左まぶたをパックリと切り裂いた。出血過多でレフェリーストップを呼び込み、ベルトを守った。

 もっとも、当人は浮かれた様子も笑顔もなし。「良くないですね、上に行くことを考えたら」と振り返ったのは3回。スウェーで後退したところを思い切って飛び込んだ大里の右クロスの餌食となり、ダウンを喫した。「(下がるのが)半歩小さかった。ガードが下がり、自分の不注意」。ダメージは残らないが、危ない場面を招いてしまった。

 この日は初回から抜群の距離感で放つ得意の左ジャブで手応えをつかめず。「なんでなのか。そこを調整しないと。課題だと思う」と首をかしげた。「最後のラウンドは良い感覚だったんですけど」と8回には世界ランカーらしい倒すパンチも放ったが、世界を目指すからこそ、その表情は最後まで険しかった。