ボクシング女子の東洋太平洋、日本バンタム級王者吉田実代(31=EBISU K's BOX)が初の世界挑戦で王者となった。女子WBOアジア太平洋フライ級王者ケージー・モートン(35=米国)とのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦を3-0の判定で制し、空位だった王座に就いた。

愛称は戦うシングルマザー。観客席には4歳の長女実衣菜(みいな)ちゃんが約500人の応援団とともに声援を送っていた。4月下旬から鹿児島の実家に愛娘を預け、世界初挑戦に集中してきた。「ボクシングで娘を育てていけるようにしたい。母で夢を追うことも、(周囲への)良い影響になればいいですね。娘も私が世界王者になることを楽しみにしている。格好いいママであり続けたい」。強い覚悟と決意を持ってリングでモートンと対峙(たいじ)していた。

高校卒業後の00年。鹿児島から心機一転、単身留学を決意した。行き先は米ハワイ。総合格闘技ジムHMC(ハワイ・マーシャルアーツ・センター)で格闘技人生をスタートした。帰国後、キックボクシング、総合格闘技を経てボクシングへ転向。14年5月のプロデビュー後、妊娠が判明した。交際していた格闘家と同年に結婚し、15年には長女も誕生。一時期の引退状態、そして離婚も乗り越え、育児とボクシングを両立してきた。「良い意味でも、悪い意味でも、私は負けん気が強いんです。あきらめが悪いんです」。

愛娘が保育園で保母さんや友達にボクシングの世界王座を狙う母について細かく説明していることを知っていた。吉田は「4歳なのにすごく私を気遣ってくれる。たまにどちらが母なんだと思うことがある」と感謝している。「私は勝つことにこだわる人間。しっかり勝つ。世界王者になる覚悟を決めている。気迫で勝ちたい」。その言葉通り、初挑戦で世界ベルトをもぎ取った。

これで令和初の女子世界王者、日本人でシングルマザー初の世界王座の獲得となった。過去に日本女子王者第1号、初代女子バンタム級王者となった吉田にとって、また新たな「初」を成し遂げた瞬間でもあった。