ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(34=帝拳)が5日、都内で行われた、スポーツ選手を支援する新サービス「Unlim」の記者発表会に出席した。

同サービスはファンが登録しているアスリートへ寄付金を支払えるサービス。金銭面で苦労を抱えている選手の新たな収益源となることなどが期待されている。株式会社ミクシィが主催する財団が運営する。

村田はボクサーの現状を訴えた。才能にあふれていながら、チャンピオンになれなかった選手を「ゴロゴロ」見てきた。資金面で競技を継続する難しさが理由という。

「プロとして続けるのは難しい。チケットが売れなければ、1回戦ったところで、5万から10万円ぐらい。年に2、3回。その状況に我慢できない選手が多い。プロでありながら、主な収入はアルバイト。継続できず、才能を無駄にする選手が多い。そのあたりを打破していきたい」

日本チャンピオンになっても、厳しい現実もあるという。「実際、日本チャンピオンでも100万円もらえたらいいと思う。年2回やっても200万円。ボクシングはアルバイトで、主な収入は違う所という話にもなってしまう」と力を込めた。その上で「ボクシングですと、興業、放映権、チケットなどの既存の収益システムが限界を露呈しつつあると思う。新しい何かの収益構造を作らないといけない。まずトライをして、新しい何かを生み出していけたら」と語った。

プロ野球元ロッテの里崎智也氏(43=日刊スポーツ評論家)はセカンドキャリアへ移行する上で、同サービスのメリットを挙げる。「現役時代にどこまで貯蓄、資産形成できるかが大事。プロ野球選手はそんなにお金に困ってないのではないかという認識があると思うが、高年俸をとっているのは、ごく一部の選手。その中でプロ野球選手は年俸以外の副収入がないといっていい。そういった意味で、新たな資金を得られるのは、セカンドキャリアの面でもかなりアドバンテージを得られる」と話した。

ミクシィの木村弘毅社長はクラウドファンディングと比べても、登録、運営などの手間が少ないことをアスリートにとっての利点として挙げ、「1日もあれば、始められる。圧倒的にUnlimは簡単である」と話した。