WBOアジアパシフィックバンタム級王者ストロング小林佑樹(29=六島)が4日、大みそかの試合に向けて大阪市内の所属ジムで会見した。元WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(25=Ambition)と東京・大田区総合体育館で対戦。当日のメインとしては、WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔と4階級制覇を狙う田中恒成の世界戦が行われる。

王者の小林が挑戦を受ける立場だが、気持ちはチャレンジャーで臨むという。「僕のベルトだが、格上に挑戦するつもりでいく。東京でアピールしたい」。実績、知名度はフライ級で世界を制した比嘉が圧倒的に上回る。戦前の予想も小林が不利の声を多く聞く。だからこそ、やりがいがあるという。

武市トレーナーは「今はだれも小林のことを知らないが、勝てば世界に名乗りをあげられる。ここで名をあげたい」と気合十分に話した。

“番狂わせ”へ、3部練習で鍛えてきた。朝はロードワーク、昼は体重50キロのトレーナーと15キロのおもりを積んだ自転車を押して、坂道を駆け上がる。そして夜にジムワーク。これを3週間続け、60-70だった脈拍が、40台になったという。さらに「メンタル的に鍛えられた」。音をあげそうな猛練習の克服で、自信を植え付けた。

小林はファイタースタイル。とにかく前に出ながらパンチを打ち続け、ダウンも負け数(8敗)も多い。この雑草魂が武器になる。武市トレーナーは「きれいなボクシングではないが、死んだパンチは打たない。強いパンチを打ち続ける。スタミナ勝負なら絶対に負けない」。打たれてもかまわず打ちにいく。魂のボクシングで、主役の座を奪いにいく。【実藤健一】