ボクシングWBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(36=帝拳)がビッグマッチに臨む。9日のさいたまスーパーアリーナで、IBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)との王座統一戦に向け、8日に都内で計量に臨んだ。

【村田諒太vsゴロフキン】日本史上最大の決戦 世界ミドル級王座統一戦/ライブ速報>>

【大橋秀行氏の見解】

1回の攻防がすべてのカギを握る。世界トップ級のフィジカルを誇る村田がゴロフキンを下がらせることができれば、絶対にいける。身長、リーチともに村田が上。ガードを上げ、プレスをかけてほしい。距離をつぶしたら村田は本当に強い。負ける展開は受けた時。近い距離でちゅうちょしたら厳しい。

下がらせることができればボディーブローが有効になる。ボディーを効かせることができれば、あのゴロフキンもペースを崩すはずだ。過去の実績を考えれば、戦前予想が不利になるのは当然だが、村田がゴロフキンの打ち終わりにカウンター、ボディーとパンチをつなげれば、次々と勝機が広がるはずだ。過去の世界戦と違い、ゴロフキン戦は「勝たなければいけない」ではなく「挑む」という気持ちのはず。それもプラスに働く。

既に村田は勝負運をつかんだと思う。普通なら延期後、消滅になってもいいぐらいの対戦相手だ。これが4月に決まったのは勝負運があるとしかいえない。実戦練習、対策の時間は十分にあり、延期になったことも追い風だ。逆にゴロフキンは放送権に関する契約を結んでいるDAZNとの兼ね合いで次戦が9月に設定されているようで、試合間隔が短くなっている。これはマイナスに働くのではと思う。

80年代、私はレナード、デュラン、ハーンズ、ハグラーというミドル級の名選手に胸を熱くした。この激戦区の階級で村田は五輪で金メダル、プロでも世界王者になった。そして同級最強の相手と、2団体王座統一戦に臨む。大きいことを成し遂げる選手には、不利といわれている中でも勝つことができる運がある。村田自身が、この2年4カ月の間に、とてつもなく強くなっているとも想像する。ありえないことをやってきた村田だからこそ、ゴロフキン撃破の期待も膨らむ。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者、大橋ジム会長)