世界3階級制覇王者のWBO世界ウエルター級王者テレンス・クロフォード(35=米国)が世界初となる2階級での4団体統一に成功した。 長年のライバルでWBAスーパー、WBC、IBF世界同級王者のエロール・スペンスJr.(33=米国)と4本の世界ベルトをかけて拳を交え、9回TKO勝ちした。スーパーライト級に続き、2階級4団体統一を成し遂げた。
WBC世界バンタム級タイトルマッチは、元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(40=フィリピン)が417日ぶりの王座返り咲きを逃した。同級1位として同級3位のアレクサンドロ・サンティアゴ(27=メキシコ)と同ベルト懸けて拳を交えて12回を戦い抜いたものの、0-3(112-116×2、113-115)の判定負けを喫した。
4団体統一ウエルター級王座統一戦
スペンスJr. | × | 9回 TKO | ○ | クロフォード |
試合経過
1ラウンド
39戦全勝(30KO)のWBO世界ウエルター級王者クロフォードと、28戦全勝(22KO)のWBA、WBC、IBF世界同級王者スペンスの無敗の王者対決。
スイッチヒッターのクロフォードは初回開始からスペンスと同じサウスポースタイルで対峙(たいじ)した。最初の1分かはジャブの突き合いで、距離の探り合いが続いた。1分半すぎにスペンスが左ボディーブローが決まる。終盤はスペンスが前に出るが、クロフォードは足を使って打ち合いを避ける。その後も左ジャブの突き合いが続く。互角の展開。
日刊採点 スペンス10-9
2ラウンド
ともに強打を経過して慎重なジャブの突き合いが続く。前半はスペンスが前に出てボディーをたたくが、クロフォードは依然として距離を取ってジャブを突く。1分半からスペンスが距離を詰めてパンチを繰り出すが、有効打はなし。終了間際、クロフォードの右ストレートでダウンを奪う。その後、クロフォードがラッシュしたところで終了ゴング。
日刊採点 クロフォード10-8
3ラウンド
スペンスが前に出て打ち合いに出る。30秒すぎにスペンスがクロフォードをロープに釘付けにして連打を浴びせる。中盤はジャブの突き合いも、クロフォードも右ストレートもヒット。2分すぎからの打ち合いからクロフォードの右がスペンスの顔面に決まる。ペースが入れ替わる難しいラウンドに。
日刊採点 クロフォード10-9
4ラウンド
開始からクロフォードの右ジャブがヒット。スペンスは前に出るが、クロフォードの右ストレートがヒット。左フックから左アッパーも決まる。1分すぐにクロフォードの左右連打が決まって、スペンスが後退。スペンスの顔面が鼻血で染まる。終盤もクロフォードの右ジャブがストレート気味にヒット。クロフォードがプレッシャーを強める。
日刊採点 クロフォード10-9
5ラウンド
開始直後にスペンスにドクターチェックが入る。再開後、クロフォードがワンツーから連打を決める。ジャブの突き合いでもクロフォードが的中率で上回る。1分半すぎにクロフォードの右フックからの連打がヒット。2分すぎにクロフォードの左アッパー、左フックのカウンターが決まる。スペンスは前に出るが攻めが雑。終盤にスペンスの左フックが決まるがクロフォードは動じず。
日刊採点 クロフォード10-9
6ラウンド
開始からクロフォードが前に出てラッシュ。スペンスをロープに詰めて右ストレートをたたき込む。2分、接近戦でボディーの打ち合い。中盤はクロフォードの右強打がスペンスの顔面にヒット。2分すぎにスペンスがボディー連打から反撃。終盤はクロフォードが的確で強い右ジャブでスペンスを突き放す。
日刊採点 クロフォード10-9
7ラウンド
序盤にクロフォードが左右連打と、強い右ジャブでスペンスを圧倒。1分すぎにスペンスがクロフォードをロープにつめたところに、クロフォードが右フックを合わせてスペンスがダウン。再開後、クロフォードがラッシュ。左右連打で。終盤にクロフォードの左ストレートが決まり、さらに右フックでこのラウンド2度目のダウン。スペンスが立ち上がったところで、ラウンド終了ゴング。
日刊採点 クロフォード10-7
8ラウンド
最初の1分間はジャブの突き合い。静かな立ち上がり。中盤にクロフォードがじわじわ前に出て強い右ジャブを決める。スペンスは手数が出ない。2分すぎにクロフォードの連打でスペンスはふらつく。終盤にスペンスもワンツー、ボディーブローを繰り出すが、クロフォードのガードにはばまれる。
日刊採点 クロフォード10-9
9ラウンド
クロフォードが強い右ジャブをビシビシと打ち込む。スペンスは前に出られない。1分すぎのスペンスの攻撃はすべてクロフォードのガードの上。1分半すぎにクロフォードの強い右ジャブにスペンスはロープに後退。2分すぎにクロフォードの右フックを浴びたスペンスがぐらつく。2分40秒すぎにクロフォードがラッシュ。連打を浴びたスペンスはフラフラと、ロープを背に防戦一方になり、レフェリーが試合を止めた。
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WBC世界バンタム級タイトルマッチ
ドネア | × | 判定 0-3 | ○ | サンティアゴ |
試合経過
1ラウンド
井上尚弥にKO負けして以来、約1年1カ月ぶりの再起戦がWBC世界バンタム級王座決定戦となったドネアは40歳。開始からジワジワと前に出てプレシャーをかける。好戦的なサンティアゴはドネアの強打を警戒してか、距離を取って戦う。2分すぎまで左の突き合いが続く。残り40秒、ドネアの左フックがサンティアゴのボディーをえぐる。サンティアゴの反撃はがっちりとガード。ドネアがペースを握る。
日刊採点 ドネア10-9
2ラウンド
1回に続き、ドネアが左ジャブを突きながらジワジワとプレッシャーをかける。距離を取るサンティアゴのパンチはなかなか届かない。1分すぎにドネアの右フックがサンティアゴの頭部にヒット。中盤、サンティアゴがワンツーを振って前に出るが、ドネアの左ボディーブローがカウンターで決まる。終盤にサンティアゴの左ボディーブローが決まり、連打を放つ。
日刊採点 ドネア10-9
3ラウンド
ドネアが左ボディーが浅く決まる。ドネアは相変わらず左ジャブを突きながら前進。1分すぎにサンティアゴがドネアをロープに詰めて連打も、ドネアの左フックがカウンターで決まり後退。明らかにダメージがあり、ドネアが追うが、サンティアゴは後続打を許さず。終盤はサンティアゴも持ち直して、互角の打ち合い。
日刊採点 ドネア10-9
4ラウンド
前半はジャブの突き合い。時折サンティアゴが大振りのフックをたたきつけるが、ドネアは冷静にガード。ドネアの右目下が腫れ始める。ドネアは終盤まで長いジャブを突き、サンティアゴはなかなか飛び込めない。終盤の打ち合いは互角。
日刊採点 ドネア10-9
5ラウンド
ドネアの左ジャブが効果的。サンティアゴはなかなか中に飛び込めない。40秒すぎにドネアの左フックがヒット。1分すぎにサンティアゴがワンツー連打で前に出るが、ドネアの左フックがボディーに入り、後退。2分すぎにサンティアゴの左フックがヒットしてドネアの動きが止まる。終盤は、サンティアゴの手数が増え、ドネアはロープを背負う。
日刊採点 サンティアゴ10-9
6ラウンド
開始からサンティアゴが左ジャブを突いて、ドネアを後退させる。サンティアゴのワンツーが決まる。1分すぎにドネアが左フックを返す。1分50秒、サンティアゴがドネアをロープにつめてボディーに連打。ドネアも左フックで反撃も空を切る。終盤もサンティアゴが連打で前へ。
日刊採点 サンティアゴ10-9
7ラウンド
序盤のジャブの突き合いは互角。サンティアゴのワンツーの連打がヒット。この打ち合いの際のバッティングでサンティアゴが左目尻をカット。レフェリーが試合を止める。再開後、サンティアゴは足を使ってドネアのプレッシャーをかわす。再びドネアが左ジャブでペース握るも、ほぼ互角のラウンド。
日刊採点 サンティアゴ10-9
8ラウンド
開始からドネアがジャブを突いて前に出る。サンティアゴも左ジャブを返す。50秒すぎにサンティアゴの右フックが決まる。ドネアの左フックは空振り。1分30秒、サンティアゴのワンツーがドネアのアゴをとらえる。2分以降はサンティアゴがジャブ、ワンツー、連打で攻勢。ドネアは動きが緩慢になり、不用意なパンチを食う。
日刊採点 サンティアゴ10-9
9ラウンド
開始からドネアが前に出てペースを奪い返そうとする。50秒すぎからサンティアゴが強引に前に出て連打。ドネアも打ち合いに応じて、左右フックを返す。1分半すぎ、サンティアゴの左ジャブがドネアの顔面に次々ヒット。2分すぎには右フックも決まる。ドネアは後手に。終盤にドネアが強引に左フックを振り回すが空振り。終盤はサンティアゴがドネアをロープに詰めて連打。
日刊採点 サンティアゴ10-9
10ラウンド
40秒すぎにサンティアゴのワンツー、左フックが浅くヒット。ドネアは前に出るがジャブ以外のパンチが出ない。1分半すぎにサンティアゴが右フックをドネアの顔面にねじ込む。2分30秒、再びサンティアゴの右フックが決まる。ドネアのパンチは決定率が低い。
日刊採点 サンティアゴ10-9
11ラウンド
苦戦のドネアは前に出るが、素早いサンティアゴに届かない。50秒すぎにドネアの左フック、右ストレートが当たるが、やや浅い。1分30秒すぎにサンティアゴのワンツーがヒット。ドネアがロープに下がる。2分すぎにドネアのボディーへの右ストレートにサンティアゴの動きが一瞬止まる。残り30秒、サンティアゴの連打が次々とドネアの眼目にヒット。終了間際にサンティアゴがドネアをロープに詰めて連打。
日刊採点 サンティアゴ10-9
12ラウンド
開始から再びジャブの突き合い。ドネアは強引に前に出て左右パンチを繰り出すが、サンティアゴに届かず。1分半すぎにドネアの右ストレートが浅くヒット。サンティアゴは無理をせずに、フットワークを使い始める。終盤の打ち合いは、ともに有効打なしも、サンティアゴが手数で上回る。最後はサンティアゴがドネアをロープにつめたところで試合終了のゴング。お互い抱き合って健闘をたたえ合う。
判定は3-0(115-113、116-112、116-112)でサンティアゴが新王者に。ドネアは井上尚弥以来、1年1カ月ぶりの復帰戦を飾ることができなかった。
日刊採点 サンティアゴ10-9