プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)が34年ぶりの大舞台に備え、ロングスパーリングを敢行した。

5月6日に東京ドームで行われるWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)との防衛戦を控え、25日、横浜市の所属ジムで実戦練習。今月17日から呼んだWBA世界同級11位ケビン・ゴンサレス(26=メキシコ)と8ラウンドのスパーリングを消化した。90年の統一ヘビー級王者マイク・タイソンの防衛戦以来となる東京ドームのボクシング興行で、かつ日本人初となるメインイベンターとしての責任感を胸に、順調な調整を続けている。

ゴンサレスは、昨年12月に元WBA、IBF世界同級王者で現WBA世界同級1位ムロジョン・アフマダリエフ(29=ウズベキスタン)とWBA挑戦者決定戦で拳を交えた実績の持ち主。世界トップ級のパートナーとなるものの、井上はロープ際まで追い込み、強打で攻めこんだ。「1人で8ラウンドを消化すると感覚的にどちらがどうペースを握っているかが分かりやすくなる。各ラウンドで相手とのバランス、組み立て方、同じように疲労をためた中での駆け引きを意識するのが目的」と意図を明かした。

ゴンサレスと同じタイミングで招聘(しょうへい)している元WBCユース・フェザー級王者ジョナタン・ロペス(20=米国)と合わせ、2人と来月中旬までスパーリングを継続する予定。井上は「2人ともネリとは似ていないが、タイプの違う2選手に対し、自分のボクシングの幅を広げていけば、絶対にネリに当てはめることができる。今は調子も仕上がりも良い。万全と言える」と納得の表情を浮かべていた。