ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が最大級の警戒ボルテージで名古屋決戦に臨む。9月14日、名古屋・IGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)の挑戦を受けると10日、発表された。同日に都内で会見した井上は暫定王者を「キャリア最大の強敵」と評価。アフマダリエフに勝った元統一王者を練習パートナーに呼び、自らも13年ぶりの出げいこに取り組む姿勢で万全の準備を進める構えだ。

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自身初となる首都圏以外の世界戦で「最大の強敵」を迎え撃つ。井上はアフマダリエフを高く評価し「フィジカル、テクニックが詰まった選手。警戒値を高めて練習を積んでいく。自分の中でもキャリア最大の強敵と思うほど、すごく緊張感、警戒心を高めている」と気合を入れ直した。

元5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)、元統一王者スティーブン・フルトン(米国)、元2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)と実績十分の新旧王者に勝ってきた井上だが「今回は判定決着でもいいんじゃないかと。しっかりと勝ち星を取りにいく強い気持ちで12回をフルに戦いたい」とあえてKO宣言しなかった。所属ジムの大橋秀行会長(60)も「ドネア、フルトン、ネリといたが1段上。1番の強敵」と口にした。

練習パートナーにはアフマダリエフに唯一の黒星をつけた元WBAスーパー、IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン)を呼び、約1カ月間、スパーリングを積む。またプロデビュー前の12年以来、約13年ぶりの出げいこも敢行予定。都内の帝拳ジムに出向き、東洋太平洋フェザー級王者中野幹士ら世界ランカーと実戦練習を積む。井上は「大橋ジムでも良いが、違うジムの雰囲気、環境、違う人が見ている前でやることは一段と緊張感、集中力を上げてくれると思う。それぐらいの試合」と意図を説明した。

過去にアフマダリエフから何度も“挑発”を受けてきた。井上が他団体の指名戦を優先していたことに「WBAから2度(指名試合を)命じられたが2度とも避けた」と主張。23年4月にタパレスに敗れて王座陥落した影響で対戦の順番が後回しになっていた「因縁」の強敵と言える。

「KO宣言しない時の井上尚弥が1番強いと自分は思っている。そういう時こそ劇的なKOシーンというものが12回の中で見られると思う」

勝てば世界新の4団体統一王者による5度目防衛成功となる。最大の警戒心を持った井上はめっぽう強い-。言葉ではなく、戦いで証明する。【藤中栄二】

◆アフマダリエフとは ウズベキスタン出身でアマ時代から世界トップを証明。15年世界選手権で銀、16年リオ五輪で銅メダルを獲得。18年3月にプロ転向し20年1月、スーパーバンタム級で最強と言われたWBAスーパー、IBF同級王者ダニエル・ローマン(米国)を判定で下して統一王者に。サウスポースタイルからアマ仕込みの技術、パワー、強いフィジカルを生かして攻勢をかけるスタイルを持つ。21年4月、母国で当時のIBF暫定王者岩佐亮佑を5回TKO撃破。23年4月、マーロン・タパレス(フィリピン)に判定負けし王座陥落も23年12月にWBA挑戦者決定戦で勝利。24年12月にWBA暫定王座を獲得し、井上との対戦にこぎつけた。