西前頭2枚目の荒鷲(30=峰崎)が、全勝の横綱白鵬を止めた。素早く左上手を取って寄り切り、6日目の鶴竜戦に続く今場所2勝目と、2個目の金星を獲得した。初の結び、初の白鵬戦で大番狂わせを起こした。

 大波乱の立役者は、荒鷲だった。座布団が乱舞する館内の光景に「テレビでしか見たことないので。良かったですね」。初金星の鶴竜戦は5本(手取り15万円)だった懸賞金も、初の結びだったこの日は46本(138万円)。「あんなに重いの初めて。片手じゃ持てない」と喜んだ。

 穏やかな性格の苦労人だ。15歳でモンゴルから来日し、02年九州で初土俵。同期の元大関琴欧洲が出世街道を歩む中、肩の脱臼癖に苦しみながらも地道に力をつけた。自己最高位の今場所も初日から5連敗したが、2個の金星で存在感を見せた。ソウル五輪レスリング4位の父エレヘバヤルさんは米国に在住。「場所が終わったらゆっくり話したい」。父への報告を楽しみに、後半戦も力を尽くす。