大相撲九州場所(12日初日、福岡国際センター)を前に、横綱鶴竜(32=井筒)が2日、福岡入り後初の出稽古を行った。時津風部屋に出向いて、平幕正代、十両蒼国来を相手に11番相撲をとって全勝した。

 夏場所を「左足関節離断性骨軟骨炎」で、名古屋場所を「右足関節外側靱帯(じんたい)損傷」でいずれも途中休場し、先場所は全休したが「普通にできているかな」と語るなど、体調に問題がないことを強調した。

 名古屋場所を途中休場した時には、師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)が「今度、前半で連敗が続いたり、途中休場したときには、きっちり決断しないと…」と厳しく語り、本人も「厳しいことを言われても仕方ない。次に出るときは結果を出さないといけない」と次出場する場所が背水の陣となる覚悟を固めた。しかし、今は巡業もしっかり務め、体調の回復も順調なだけに「特に(自分に)プレッシャーをかけることはないと思います」と深刻さを感じさせない。

 この日午後には福岡市内の住吉神社で横綱4人による奉納土俵入りを終えた。「やるぞ、という感じ。あと10日ぐらい(9日間)土俵の中でしっかり稽古して」。体の不調に悩まず、稽古を積めることが大きい。「場所に入って、流れをつかむのが大事ですからね」。前向きに本番を見据えていく。