大相撲の横綱日馬富士の暴行問題で、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は28日、東京都内のスポーツ庁で鈴木大地長官と約30分間会談し、一連の騒動を謝罪した。同理事長は「公益法人として暴力は決して許されない」と述べ、事実関係の解明に努力する意向を示した。

 鈴木長官は「大変残念に思っている。国民の期待を裏切った」と話し、説明責任を果たすことを要請。問題を11月上旬に把握しながら、発覚するまで実質的な調査を実施しなかったことに苦言を呈し、ガバナンス(組織統治)強化とコンプライアンスの徹底を求めた。

 会談後に記者会見した八角理事長は「危機管理委員会が調査を進めている。だが(暴行を受けた平幕)貴ノ岩の聴取がまだできていないので中間報告になった」と説明した。貴ノ岩の聞き取りは師匠の貴乃花親方(元横綱)が拒否しているため難航。同理事長は「貴ノ岩の体調を一番心配している。良くなれば聴取に応じてくれると感じている」と述べた。

 鈴木長官は会談後「改めて暴力根絶について要請した。健全な組織運営を望む」と強調。相撲協会に再度の報告を求めたが、時期については「(報告の)早さというより真実を明らかにして究明していくことが第一」と述べるにとどめた。

 27日の横綱審議委員会の会合では判断が持ち越されたものの、日馬富士に「非常に厳しい処分が必要」との見解で一致。30日には協会の定例理事会が開催され、事実関係の究明や処分に向けた取り組みが本格化する。