新十両で東十両13枚目の水戸龍(23=錦戸)が、関取デビューをうれしい白星で飾った。

 再十両で西十両12枚目の栃飛龍(30=春日野)と対戦。立ち合い、左で張って右をのぞかせようとしたが入らず、今度は突きで攻撃。相手を突き放し、適度な距離を置いて押し込み、最後は突き出した。

 日大時代にアマ横綱と学生横綱に輝き昨年夏場所、幕下15枚目格付け出しで初土俵。所要4場所で新十両昇進を果たした。地力は十分で、この日は「相手の突きが強いので、突かれても下がらないようにと考えてました。あと(の取り口)は緊張で覚えてないです」とモンゴル出身33人目の関取は、初々しく答えた。

 関取の象徴ともいえる締め込みは、鮮やかなオレンジ色。思い入れでもあるのかと思いきや「本当は赤を頼んだんですが、向こう(発注した業者)のミスで(オレンジになった)。高校でも大学でも『勝ちの色は赤』と教えられ、大学の時のタオルも赤だったんです」と予期せぬハプニングに見舞われていた。

 そんな土俵外での想定外の出来事も何のその、189キロの恵まれた体を、関取デビュー戦で存分に発揮した。「その日の相撲に負けないようにしようと、それだけを考えて『あと何番』とか考えずに取りたい」。怖いものなしの勢いで、残りの土俵に臨む。