西前頭3枚目栃ノ心(30=春日野)が初優勝を成し遂げた。

 12勝1敗で迎えた14日目、前頭9枚目の松鳳山を寄り切りで破って千秋楽を待たずに優勝を決めた。1場所15日制定着の49年夏場所以降では、12年夏場所の旭天鵬以来20度目の平幕優勝。

 06年夏場所の序ノ口デビューから所要70場所目。13年名古屋場所で右膝前十字、内側側副靱帯(じんたい)を断裂し、14年初場所には幕下まで落ちた苦労人が歓喜の瞬間を迎えた。「けがして、幕内に戻ってから、こんなに長い間いい稽古ができたのは初めてと思うよ」。昨年11月の九州場所前から“完全復活”の予感はあったが、年が明けて間もない初場所で結果を出した。

 日本から直線距離で約8000キロの西アジア、ジョージア出身。192センチ、177キロの巨漢力士は最後まで初場所の主人公であり続けた。