平成以降4人目の100キロ未満の新入幕となった西前頭14枚目炎鵬(24=宮城野)が佐田の海に足取りを決め、2勝1敗とした。

「稽古でもやったことがないから、イメージがわかなかった」という相手に立ち合いから低く潜り、右手で右脚をたぐり両手で抱え込み、土俵外に押し出した。「ギリギリまで“どうしようか”と迷って、土俵に上がってから相手を見て決めました」。相手の右に回り込む得意の動きを生かした。一般的には珍しい決まり手だが、炎鵬に限れば、そうでもない。十両で徳勝龍に決めた春場所9日目に続き、2場所連続8度目。下手投げ、寄り切り、押し出しに続いて、自身で4番目に多い。「稽古では絶対にしません。イチかバチかですけど、どんな勝ち方でも勝つことが大事。この体だからできる勝ち方がありますから」。ある意味得意の攻め手だった。

この日のNHK中継の解説は「技のデパート」「平成の牛若丸」と呼ばれた小兵の元小結舞の海氏だった。「相撲を始めた頃から(舞の海氏を)知っています。子供心に“すごいな”と思ってたんで。三所攻め、八艘(はっそう)飛びが印象に残っています」。“令和の牛若丸”候補の声は弾んでいた。