1敗で横綱鶴竜、関脇栃ノ心とともに優勝争いのトップを走る平幕の朝乃山(25=高砂)が、佐田の海(32=境川)を寄り切りで破り、白星を10勝に乗せた。

この一番は、朝乃山が圧倒して寄り立て、東土俵で勝負を決めたかに見えた。行司軍配は朝乃山に上がったが、土俵際で朝乃山の左足つま先が、先に土俵外に出たのではないかと物言いがついた。ビデオでみる限り、佐田の海の左足かかとが出るのと微妙な差で、朝乃山は出かかった左足つま先を浮かせたように見えた。

長い協議の末、結果は朝乃山の勝ち。ただ、この場内説明で、審判長を務めていた阿武松審判部長(元関脇益荒雄)の説明に誤認があり、場内は騒然とした。「行司軍配は朝乃山に上がりましたが、佐田の海のかかとが先に出ているのではないかと物言いがつき協議した結果、佐田の…朝乃山のかかとが先に出ており、朝乃山の勝ちと決定いたしました」。

この文言では矛盾がある。まず「佐田の海のかかとが先に出ている」のであれば、行司軍配通りに朝乃山の勝ちとなるわけだから、物言いはつかない。さらに「朝乃山のかかと」は「佐田の海のかかと」であり、また「先に出た力士の勝ち」とするのも間違い。両力士のしこ名と、つま先やかかとの部位が混同され、混乱を招く説明となった。

この、つじつまが合わない説明に、場内は不満の声が渦巻いた。両力士も、どうしていいか分からず土俵下に控えたまま。この状況に、同審判部長が再度のアナウンス。「佐田の海のかかとが先に出ており、朝乃山の勝ちとします」の説明で、ようやく騒然とした場内も収まり、両力士も土俵に上がり朝乃山が勝ち名乗りを受けた。