日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)が22日、東京・両国国技館で報道陣の代表取材に応じ、開催まで1カ月を切った7月場所(19日初日、国技館)について「やっと場所が近づいてきたなという気持ちでいます」とコメントした。

協会は無観客での開催を目指している中、プロ野球、Jリーグはともに7月10日から観客を入れる方針を示している。尾車事業部長は「(7月場所初日の)9日先に入れてくれたら参考になる。野球やJリーグも入っているんだから、相撲も入ってもいいのかなと。ただ会場とかいろんなところが違うから。入れるにしてもどういう規約をもって入れたらいいとか。マス(席)の中に一人で次の人まで3つ空けないといけないとか。その辺は分からない」と見解を示した。

今月19日にプロ野球が無観客で開幕した。尾車事業部長も連日、テレビで観戦してることを明かし「スポーツって無観客だろうがなんだろうが、真剣勝負でああいうのがテレビの画面からたくさん伝わってきていいよな。とても気持ちがすかっとする」と、スポーツの魅力を実感。東京ドームではバックネット裏に複数の人物が映ったパネルが掲示されている。「なるほどいろいろ演出を考えているな、と。それがそのまま相撲に当てはまるか分からないけど、少しでも無観客でも盛り上がることができればいい」。他競技が取り入れるさまざまな工夫にも関心を示した。

春場所終了後の約3カ月で悲しい出来事もあった。各部屋が自粛生活を続ける中で、先月13日に高田川部屋の三段目力士、勝武士さんが新型コロナウイルス感染による多臓器不全で死去。尾車事業部長も「それはもう本当に残念としか言いようがない」と胸を痛めた。高田川部屋から尾車部屋は徒歩1分ほどの距離。「(高田川部屋に)救急車が来た時も防犯カメラにずっと写ってっていたので、どうかしたのかと思いながら、聞くわけにもいかず。ずっと長く救急車が止まっていたのでね。どうなってるんだろうというそんな気持ちで見守っていたんだけどね。その後、分かったけど、勝武士くんが病院に運ばれていったのはその後に分かったんだけど、最悪の結果をもたらしてしまった。本当に本人もだけど、部屋の若い衆もだし、師匠やおかみさんもみんなの気持ちを思うと、正直、いたたまれなかったというのが本心」。コロナの恐ろしさを一層感じる出来事となり、弟子にも改めて言葉をかけたという。「やっぱり不要不急の外出を控えろというのは僕も部屋の力士を集めて言った。念押しした。あれは本当にショックです。そのためにも7月場所でいい相撲を、元気な相撲を皆さんに見てもらえるように、いま場所に向かってどこも頑張っていると思う」。協会員が一丸となって、悲しみを乗り越える。

先月18日から今月12日まで行われた抗体検査の結果は、6月中に発表される予定。「抗体検査の結果をもらって、それでご指導いただいている専門家の人にどうすべきかというのを指導いただき決めていく」。指針を定めて、開催に向けて1歩ずつ前進していく。