大相撲の横綱白鵬(36=宮城野)が、4日に初日を迎える名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)の土俵に進退を懸けて上がる。6場所連続休場中で、3月の春場所を途中休場した後に右膝の手術を受けた。右膝手術を担当するなど、7年以上寄り添ってきた白鵬の主治医で整形外科医の杉本和隆氏(52)が、横綱の現状と名古屋場所の展望を語った。【取材・構成=佐々木隆史】
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-白鵬の回復具合はどれぐらいか
予定通りです。白鵬が自分の相撲を完璧に取れるというのを100%にすると、もちろんまだまだだと思う。だけども少なくとも、土俵に立てるということでは順調に進んでいます。
-あらためて3月に手術をした経緯は
実は春場所の2日前から膝に水と血がたまっていました。本来なら出られる状況ではなかったけど、彼の熱い気持ちで出た。でも、そこから毎日血を抜いていた。休場した時もMRIを撮ったけど、(膝の)軟骨が完全にはがれていた。「手術でしか治す方法はない」という話をした。
-手術当時から膝はどれぐらい動くようになったか
基本的には関節機能評価は十分100点に近い状態。ただ、関節の腫れはまだ残っている。というのも稽古をやっていますから。例えば、基本的には膝に望ましくないけど、スクワットは130キロで持ち上げてできるようになった。筋力もだいぶ戻ってきている。
-いよいよ運命の名古屋場所が始まる。どういう展開を予想するか
普通の力士は「一番一番頑張ります」と言うけど、白鵬に「1日一番」という考えはない。常に15日間全部が見えている。15日間の組み立てがちゃんとハマるのかどうか。彼は今、膝が100%の力を出せなくても「こういう相撲を取るんだ」というシミュレーションを一生懸命やっている。
-15日間務めあげる鍵は
彼のいいところは心技体のバランスを作るのがうまい。「体」が悪ければ、その分「心」と「技」で補ってきた。技は絶対的に落ちない。なので「心」が15日間持つかが1つ。あとは、160キロぐらいある関取とは1回も稽古していない。ちゃんと膝がもってくれるのかどうか。この2点だと思う。
◆杉本和隆(すぎもと・かずたか)1969年(昭44)1月31日、東京都出身。日大医学部を卒業後、現在は東京都の苑田会人工関節センター病院で病院長を務める。関節疾患の専門医。白鵬らの現役力士をはじめ、プロボクサー、プロゴルファー、体操選手など多数のアスリートを治療、サポートしてきた。白鵬は7年以上にわたりサポートしている。

