大相撲秋場所限りで現役を引退し、年寄「間垣」を襲名した横綱白鵬(36=宮城野)が、自らの言葉で土俵に別れを告げた。1日、東京・両国国技館で行われた引退会見に出席。引退を決めた現在の心境について「ホッとした気持ちでいっぱいです。引退を決めたのは名古屋場所の10日目で決めました。進退を懸ける最後の(名古屋)場所も膝が言うことを聞かなくなり、この場所は2桁勝利が目標だった。その10勝を達成したときに部屋の皆さんに今場所で引退させていただきますと伝えた。(引退に)迷いはなかった」と明かした。

会見場となった両国国技館の大広間に登場すると、さっぱりした表情で会見に臨んだ。

1日の午後3時から始まった引退会見の様子は、日本相撲協会公式YouTubeチャンネルで生配信された。

白鵬は秋場所千秋楽翌日の9月27日に師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)を通じて協会に引退を申し出た。3日後の同月30日に引退と年寄「間垣」の襲名が承認されたが、現役時代に物議を醸した言動などを理由に、年寄資格審査委員会からは「襲名を認めるとしても、条件をつけるべき」、「10年間は部屋付きの親方として、親方業を習熟すべき」などの意見も出た。自覚ある行動を求める声が多く、異例の誓約書同意での年寄襲名となった。

誓約書の内容は「新人の親方として、理事長をはじめ先輩親方の指揮命令・指導をよく聞き、本場所など与えられた業務を誠実に行うこと」、「大相撲の伝統文化や相撲道の精神、協会の規則、ルール、マナー、相撲界のならわし、しきたりを守り、そこから逸脱した言動を行わないこと」。白鵬は内容に同意、了承して誓約書にサインし、襲名が正式に決定した。

白鵬は最近の休場の多さを理由に、昨年11月場所後に横綱審議委員会(横審)から引退勧告に次ぐ重さの「注意」の決議を受けた。新型コロナウイルス感染や3月の右膝手術をへて、7月の名古屋場所に出場。45度目の優勝を果たした。9月の秋場所は、部屋の力士の新型コロナウイルス感染の影響で全休の措置が取られ、出場できなかった。

◆白鵬翔(はくほう・しょう)本名同じ。1985年3月11日、モンゴル・ウランバートル生まれ。ムンフバト・ダバジャルガルと名付けられる。00年10月来日、01年春場所初土俵。04年初場所新十両。同年夏場所新入幕。大関昇進した06年夏場所で初優勝。07年名古屋場所で第69代横綱昇進。優勝45回など史上1位の記録が多数ある。通算1187勝247敗253休。金星1個、技能賞2度、殊勲賞3度、敢闘賞1度。19年9月に日本国籍取得。得意は右四つ、寄り。家族は紗代子夫人と1男3女。192センチ、155キロ。父ジジド・ムンフバト氏(故人)はメキシコ五輪レスリング銀メダリスト。