大相撲春場所(13日初日、エディオンアリーナ大阪)を、かど番で臨む大関正代(30=時津風)が4日、報道陣の電話取材に応じ、近況や春場所に臨む胸中などを明かした。

日本相撲協会が2月10日に発表した時点で、幕内力士の半分以上にあたる22人が、新型コロナウイルスに感染していることが確認された。正代も2月7日に感染が判明。電話取材に応じる声も「ちょっとまだノドが枯れているという感じ」と、かすれ気味だ。症状自体は深刻なものではなかったというが、味覚障害と2日程度の発熱(最高で38度2分)、かすれ声などの症状があったという。ただ、10日間の療養期間は体を満足に動かすことが出来ないため、現状は「(ノドの影響は)稽古に支障はないけど体力的に、ちょっと落ちているのは感じてます。ちょっと(調整は)遅れているような気がします」と吐露。体を動かし始めて、まだ2週間だという。

春場所初日まで10日を切った。本来ならこの時期、関取同士の稽古で豊山と相撲を取っているが「今は幕下と取って、いつもより番数を多めに取っている。いつもとは調整の仕方が、ちょっと違うかな」。この日も幕下と20番程度を取ったが、調整遅れは否めない。体を動かし始めて、何とか相撲を取れるようになった初期の段階は1、2番取っただけで、すぐに息が上がったことも明かした。「近々、始めたい」という豊山との稽古再開が、春場所に向けた調整の鍵を握りそうだ。

それでなくても大関在位9場所目で、かど番は3度目。2ケタ勝利は1度で、先場所は皆勤した中ではワーストの6勝9敗と苦戦が続く。過剰にかど番を意識するのを避け「硬くならないようにしたい。それが一番。思い切り行けたらいいかなと思っている」と気持ちを高めるしかない。1学年下ながら同じ学生相撲出身の御嶽海(29=出羽海)が大関に昇進したことも刺激にしたい。「他の力士に比べると、どうしても意識する存在でしたけど、さらに意識してしまうのかなと思います。意識してしまうのは自然なことなのかな」と素直に話す。

大関昇進後の不振について、思うところもある。それが精神面と正代は自己分析する。「元気がないような相撲だったんじゃないかなと思うのと、土俵際でもうちょっと何番か勝てるような相撲があった」という粘り。負けが込んだ時には「ちょっと悪い方向に行ってしまったところはある」とも振り返った。

かど番脱出、そして御嶽海に先輩大関の意地を見せる大阪には7日に入る予定だという。春場所の大阪開催は2年ぶり。その2年前は無観客開催だったため、大阪のファンが会場に入るのは3年ぶりだ。「地方場所を開いていただけるのは力士として、ありがたいこと。(2年前の無観客開催の)違和感はすごかった。お客さんがいるのは自分にとってもモチベーションにかかわってくると感じた。コロナにかかったことを感じさせない相撲を取りたい」と正代。不安は「なくはない」と素直に話す一方で「とりあえずは勝ち越しを目指して。これから体と相談しながら、だんだん稽古内容も強度を上げていって」と正代らしい言葉で意気込みを語った。