大相撲の元小結松鳳山で、昨年6月に引退した松谷裕也さん(39)が11日、東京・両国国技館で断髪式を行った。

約400人がはさみを入れ、入門から15年以上、師匠として指導を受けてきた荒磯親方(元大関若嶋津)の止めばさみで、まげと別れを告げた。同じ両国国技館内の大広間に場所を移して行われたパーティーでは、両サイドがすっきりとした新たな髪形を披露し、出席者から歓声で迎えられた。「頭が軽くなりましたね。16年、まげの生活だったけど、これからはいろんな髪形ができる」と、明るく話した。

断髪式終盤、断髪者として、母輝美さん(64)の名前が呼ばれると号泣した。おいを挟んで、父貞雄さん(67)の名前が呼ばれると再び涙が流れた。「泣かない予定でしたけど、両親の時はきましたね。丈夫な体に生んでくれた両親のおかげ。ずっと一番近くで応援してくれたのは両親。グッとくるものがありました」と、恥ずかしそうに笑いながらも感謝していた。

他にも荒磯親方のみづえ夫人、二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)、大関経験者の高安ら同じ二所ノ関一門の親方衆や関取衆らがはさみを入れた。松谷さんは駒大から06年3月の春場所で、前相撲デビューだったが、中学卒業後や高校卒業後の角界入りで年齢は違っても、同時期に入門した力士の絆は固く、前頭竜電、錦木、十両千代の国らも駆けつけた。

松谷さんは相撲協会に残ることなく、入門時から稽古してきた、かつての松ケ根部屋(その後、二所ノ関部屋)があった、千葉・船橋市を候補に、焼き肉店の開業を目指している。「本当は断髪式までにオープンしたかったんですけど、なかなか、いい物件がなくて。相撲をやめて、ちゃんこ屋さんだと、普通かなと思って、焼き肉屋さんを考えています」と、明るい笑顔で話した。約400人が駆けつけたことには「最初はそんなに集まらないかと思ったけど、400人ぐらいにはさみを入れてもらい、新たなスタートを切ることができる」と、しみじみと話し、感謝しきりだった。