大相撲の十両玉正鳳(30=片男波)が、3月の春場所中に左太もも裏を肉離れしていたことを明かした。21日、都内の部屋で稽古後、敗れた6日目の友風戦でのこととし、「左太ももの裏を肉離れしていました。立ち合いで当たった瞬間、何かがちぎれるような音が聞こえた。千秋楽まで痛みは取れませんでした」と話した。新十両として臨んだ先場所は、5日目までの序盤戦を4勝1敗の好成績。肉離れを起こした6日目からは3連敗するなど苦しんだが、辛うじて8勝7敗で勝ち越していた。

肉離れを起こしてからは、リモート取材に応じておらず、病状などは不明なままだったが、すでに稽古を再開しているとあって打ち明けた。7日目からは、通常は1回1錠の痛み止めの薬を「痛すぎて」と、3倍の1回3錠も服用して場所に臨んでいたという。ただ、入門前に在籍していた部屋を含めると、部屋の閉鎖などで5部屋も渡り歩いてたどり着いた新十両場所。「楽しかった」と、憧れの土俵入りなども経験し、高揚感を覚えたまま過ぎたようだ。「15日間、相撲を取ることができて、うれしかった」と、笑顔で話した。

一方で「やっぱり15日間が長かった」とも話した。片男波部屋は兄弟子の前頭玉鷲と自身、あとは若い衆が2人と、計4人だけ。自分の取組が終わると、けがした日も例外なく、15日間全て玉鷲の付け人業務もこなした。「毎日、場所に5、6時間もいるわけですからね。本当に長かった」と、笑って振り返った。

「先場所は勝ち越せてホッとした。最初がよかったから、2ケタ勝てるかと思ったけど、できなかった。次は2ケタ勝ちたい」。次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)に向けて、すでに部屋では連日、精力的に稽古に励んでいる。この日も玉鷲に、ぶつかり稽古で胸を借りては、何度もあおむけに倒れ込んだ。実姉と結婚した義兄でもある玉鷲に「今、稽古で苦しいのと、幕下に落ちて苦しむのだったら、どっちがいいんだ」と問われ「今、稽古で頑張ります」と話し、息を切らしながら何度も何度もぶつかった。関取2場所目こそ、白星を目標の2ケタに乗せるつもりだ。